行政書士に告訴状・告発状作成を依頼する際の注意点【元刑事の行政書士が解説】

 私は、お客様から告訴状・告発状の作成相談を受ける際、まず、「自分が現役刑事だったらこの告訴(告発)を受理するか」を考えます。「受理するだろうな」と思えば、もちろんご依頼を受けるのですが、何らかの理由により「これは受理しないな」と思えば、理由を説明してご依頼をお断りしています。「受理されないであろう」告訴状・告発状作成をお金をもらって引き受けては「詐欺」のような話になってしまいますし、お客様は受理されない告訴状・告発状の作成にお金を無駄にしないで済みます。

 警察が受理するかしないかの判断ができるのは、私に32年間の警察官経験と25年間の刑事経験があるからです。私は、何百通という告訴状・告発状について、実際に受理・不受理の判断をしてきました。警察にとって告訴・告発事件の受理は非常に業務負担が大きいため、刑事はその受理を回避するためのノウハウに長けています。私も現役時代にはそうしたノウハウを知っていましたから、刑事の考えることは手に取るようにわかります。

 では、刑事経験のない行政書士にこうした「警察が受理するかどうか」の判断ができるでしょうか? 私にはできるとは思えません。したがって、私なら「受理されない」と判断する告訴・告発の作成も引き受けてしまうのではないでしょうか。受理されなかった告訴状・告発状はただの紙切れになってしまいます。

 行政書士に告訴状・告発状の作成をご依頼される際は、その行政書士に「刑事」の経験があるかどうかを確認されることをお勧めいたします。「警察官」ではなく「刑事」です。一般の警察官は告訴・告発事件を扱わないからです。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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