書類送検とは? 元刑事がわかりやすく解説

ニュースでよく耳にする「書類送検」という言葉ですが、実はこれは法律上の正式な用語ではなく、主にマスコミが使用する表現です。刑事手続における正式な用語は「送致(そうち)」または「送付(そうふ)」です。

「書類送検とはどういう意味?」「逮捕されなくても書類送検されるの?」「送致と送付の違いは?」と疑問を持つ方も多いでしょう。

ここでは、元刑事の視点から、「書類送検」「送致」「送付」の違いをわかりやすく解説します。

1.送致とは?警察から検察へ事件を送る正式な手続

送致とは、警察が捜査した事件を検察庁へ引き継ぐ手続のことです。

「事件を送る」と言われてもイメージしにくいと思いますので、一般的な刑事事件の流れで説明します。

刑事事件の基本的な流れ

  1. 犯罪・事件が発生
  2. 被害者が警察に被害届または告訴状を提出
  3. 警察が捜査を開始
  4. 被疑者(容疑者)を特定
  5. 逮捕するか、任意捜査で進めるかを判断
  6. 捜査結果を検察庁へ送る(送致)

逮捕した場合の送致

逮捕が必要と判断された場合は、通常、次の流れになります。

  • 裁判所に逮捕状を請求
  • 被疑者を通常逮捕
  • 取調べを実施
  • 捜査書類と被疑者の身柄を検察庁へ送る

この場合、被疑者の身柄と書類を一緒に検察へ送るため「身柄付き送致」となります。

逮捕しない場合の送致(いわゆる書類送検)

一方、逮捕の必要がない場合は任意捜査となります。

  • 被疑者を警察署へ呼び出す
  • 事情聴取・取調べを行う
  • 被疑者供述調書などの捜査書類を作成
  • 書類のみを検察庁へ送る

この場合も、法律上は正式に**「送致」**です。

つまり、

逮捕して検察へ送っても送致、逮捕せず書類だけを送っても送致

ということになります。

この「書類だけを検察へ送るケース」を一般にわかりやすく表現したものが、いわゆる書類送検です。

2.書類送検とは?逮捕されないケースでも使われる言葉

「書類送検」と聞くと、「軽い事件」「逮捕されなかったから大したことない」と思う方もいますが、必ずしもそうではありません。

書類送検とは、被疑者を逮捕せず、捜査書類だけを検察庁へ送ることを指すマスコミ用語です。

正式な法律用語ではありませんが、テレビや新聞では頻繁に使われています。

そのため、

  • 書類送検=前科がついた
  • 書類送検=不起訴になる
  • 書類送検=軽犯罪

といった誤解がよくありますが、いずれも正確ではありません。

書類送検された後、検察官が

  • 起訴
  • 不起訴
  • 略式命令請求

などを判断します。

3.送付とは?告訴・告発事件で使われる法律用語

送付とは、告訴事件または告発事件において、被疑者を逮捕せず書類のみを検察庁へ送る手続を指します。

具体的には、

  • 告訴状が提出された事件
  • 告発状が提出された事件

について、身柄を付けずに検察庁へ送る場合に「送付」という表現が使われます。

法律上は「送付」も広い意味では送致の一種です。

ただし、一般の報道ではこの違いはほとんど区別されず、送付もまとめて「書類送検」と報道されることが通常です。

4.送致・送付・書類送検の違いを簡単にまとめると

用語意味正式用語か
書類送検書類だけを検察に送ること(マスコミ用語)×
送致警察が事件を検察へ送る正式手続
送付告訴・告発事件で書類のみ検察へ送る手続

まとめ|書類送検は「逮捕されない送致」のこと

「書類送検」はニュースでよく使われる言葉ですが、法律上の正式名称ではありません。

正式には、

  • 一般事件 → 送致
  • 告訴・告発事件の書類のみ送付 → 送付

となります。

つまり、書類送検とは、逮捕されないまま事件が検察庁に送られるケースをわかりやすく表現した言葉と理解すればよいでしょう。

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淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
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というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
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