告訴事実の書き方39(詐欺5 その他の詐欺)
ホテルの無銭宿泊
告訴事実
刑法第246条 詐欺
被告訴人は、令和6年5月4日午後4時0分頃、埼玉県深谷市深谷南3丁目45番地所在の「ホテル深谷荘」において、同ホテル店員山下達夫(当時45歳)に対し、代金支払の意思も能力もないのに、これあるように装い、「仕事で大阪から来てるんだけど、今日から3泊したい。食事は朝と夜お願いしたい。料金は最終日にクレジットカード一括で払う。」と申し向けて宿泊と朝夕食を申込み、同山下をして、チェックアウト時には料金の支払いが受けられるものと誤信させ、よってその頃から同月7日午前11時0分頃までの4日間にわたって同ホテルに宿泊滞在し、その間宿泊と飲食代金合計4万5600円相当の宿泊サービスと飲食物の提供を受け、もって人を欺いて財物を交付させ、かつ、財産上不法の利益を得たものである。
他人名義クレジットカード不正利用
告訴事実
刑法第246条第1項 詐欺
被告訴人は、窃取した東京クレジット株式会社発行の花田かおり名義のクレジットカードを使用して、同社のクレジット契約加盟店から購入名下に商品を詐取しようと企て、令和6年2月4日午後5時0分頃、千葉県柏市西柏4丁目5番5号所在の株式会社家電の横山柏店(告訴人)において、同店店員山中彩花(当時24歳)に対し、代金支払の意思がないのにあるように装い、前記花田になりすまして、前記クレジットカードを提示して腕時計(ローラックス製、AAFF-54、販売価格55万円)1個の購入を申込み、同店員をして、被告訴人が同クレジットカードの名義人であって正当な使用権限を有し、かつ、後日所定の支払方法で代金の支払いをするものと誤信させ、よって、その頃、同店員を欺いて、告訴人管理にかかる前記腕時計1個を詐取したものである。
取り込み詐欺
告訴事実
刑法第246条第1項 詐欺
被告訴人は、千葉県柏市西柏4丁目5番5号において、電気店「川辺でんき」を経営していたものであるが、同店が経営不振となり、近い将来倒産が避けられないことがわかっていたにもかかわらず、これを秘して、商品を詐取しようと企て、令和6年5月7日午後5時0分頃、前記電気店から東京都足立区足立9丁目5番6号所在の株式会社シンコー電気(告訴人会社)に電話をかけ、同社営業課長横田信二(当時45歳)に対し、代金を支払う意思も能力もなく、かつ、商品の納品後はこれを購入額以下で廉価販売する意図であるのにこれを秘し、「パナ社製AA型の40型液晶テレビを20台売ってほしい。代金はいつも通り来月末日に一括で払います。」などと嘘を言い、前記横田をして、商品の代金は同年6月末日に一括で支払いを受けられるものと誤信させ、よって同年5月11日、液晶テレビ20台(パナソニック製、AA型、販売価格合計150万円)を前記電気店に納品させ、もってこれらを詐取したものである。
解説
取り込み詐欺は、通常の商取引との線引きが難しいとされています。これは、商品等をメーカーや問屋などから仕入れて販売する業者が、経営難から資金が不足したり、または、あるはずだった入金が受けられなかったこと等から、仕入れた商品の代金が支払えなくなることは珍しいことではないからです。よって、実務で取り込み詐欺かどうかを見分ける一つのポイントは、「購入金額より安く販売」したことを目安にします。購入金額より安く販売すれば当然赤字ですから、まともな会社なら普通やりません。また、初めから取り込み詐欺をやる目的で始めた会社は、社員が全員偽名を使います。
保険金詐欺
告訴事実
刑法第246条第1項 詐欺
被告訴人は、故意に自動車を衝突させて損壊させ、これを過失による交通事故と偽って保険金名下に告訴人会社から金員を詐取しようと企て、令和6年5月7日午後5時0分頃、被告訴人所有の自家用普通乗用自動車(トヨタ、カローラ、足立520し1234)を運転して、東京足立区足立9丁目4番先路上において、東京電力設置所有の電柱(東電柱、足立2-33)と故意に衝突させて同車両を損壊させ、その頃、これを警視庁足立警察署の警察官に過失による交通事故と申告して交通事故証明書の交付が得られるようにして、同日午後8時0分頃、被告訴人をして、同人運転の前記車両について自家用自動車保険契約(対物賠償限度1000万円)を締結している告訴人会社の事故通報センターに電話をして、電話に出た同社従業員山野美里(当時40歳)に対し、事故発生の事実と修理代金の支払を要求し、同月12日、東京都葛飾区亀有9丁目4番6号所在の西山自動車整備工場において、同車両の損害調査に赴いた長谷部損害調査株式会社調査員木下義男に対し、故意に同車両を衝突させたことを秘し、被告訴人の過失による事故で130万円の損害が生じた旨の虚偽の説明をし、前記木下をして、同車に130万円の損害が生じた旨の損害調査報告書と保険金請求書を作成させ、これらを同年5月22日、東京都中野区中野9丁目5番5号所在の告訴人会社において、保険金支払の決定権限を有する同社調査室長今野洋平(当時50歳)に提出させて自家用自動車保険金の支払いを請求し、同人を被告訴人の過失によって同人の所有の前記車両に損害が生じたものと誤信させ、よって、同年6月20日、告訴人会社が管理する株式会社横浜銀行中野支店に開設された告訴人名義口座(当座1234567)から、被告訴人が管理する明治銀行亀有支店に開設された同人名義口座(普通1234567)に130万円を送金させ、もって人を欺いて財物を詐取したものである。
淺利 大輔
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。