【警察に告訴・告発するなら弁護士?行政書士?どちらに依頼すべきか】
警察に告訴・告発を考えたとき、自分で手続きを進めるか、弁護士に依頼するか、行政書士に依頼するかで迷う方も多いでしょう。本記事では、それぞれの専門家の役割や費用の違い、依頼する際のポイントについて詳しく解説します。
弁護士と行政書士の違いとは?
弁護士と行政書士では、できる業務範囲に大きな違いがあります。
- 弁護士は法律問題全般を扱うことができ、警察への告訴の立ち会いや交渉、示談交渉、裁判対応などが可能です。
- 行政書士は主に書類作成が専門で、告訴状の作成はできますが、警察との交渉や代理人としての活動はできません。
弁護士に依頼する場合のメリットと費用
弁護士に依頼する最大のメリットは、警察や検察との交渉が可能な点です。告訴の受理や示談、裁判手続きまでサポートを受けることができます。
弁護士費用の相場
弁護士に依頼する場合の費用は以下のようになります。
- 着手金:40万円~
- 警察の受理報酬:20万円~
- 起訴または有罪報酬:20万円~
- 合計:最低80万円~(高額な事務所では100万円を超えることも)
費用は高額ですが、警察が告訴を受理しやすくなる、交渉力がある、裁判対応が可能といった点でメリットがあります。
行政書士に依頼する場合のメリットと費用
行政書士は告訴状の作成が可能ですが、警察との交渉や裁判対応は不可です。警察が告訴を受理しない場合、自分で交渉しなければなりません。
行政書士費用の相場
- 最低価格:3.3万円~
- 最高価格:20万円程度
弁護士と比較すると24倍の費用差があり、リーズナブルに告訴状を作成できる点がメリットです。
警察への告訴で弁護士と行政書士はどちらが有利?
以下のポイントで比較してみましょう。
項目 | 弁護士 | 行政書士 |
---|---|---|
告訴状の作成 | ○ | ○ |
告訴の立ち会い | ○ | △(助言のみ) |
警察との交渉・説得 | ○ | × |
示談交渉 | ○ | × |
検察審査会への申し立て | ○ | × |
弁護士に依頼すれば、警察が受理しやすくなり、示談交渉や裁判対応までカバーできます。一方で、行政書士は低コストで告訴状を作成できるため、費用を抑えたい場合に選択肢となるでしょう。
どちらを選ぶべきか?ポイントを解説
- 確実に警察に受理してもらいたい場合:弁護士を選ぶのが無難。
- 費用を抑えつつ、告訴状だけ作成したい場合:行政書士が選択肢に。
- 示談交渉や裁判まで見据えるなら:弁護士一択。
まとめ
警察への告訴・告発において、弁護士と行政書士の違いを理解し、自分のケースに合った専門家を選ぶことが大切です。
- 弁護士は費用が高いが、交渉力があり手続き全般をサポート可能。
- 行政書士は費用が安く、告訴状作成のみに特化。
- 行政書士を選ぶ場合には、「元刑事」から選ぶのが正解。
告訴をスムーズに進めるために、まずは自身の状況や予算を考慮して専門家を選びましょう。
旧記事
警察に告訴を考えたときに、自分で全てをやるか、弁護士に依頼するか、行政書士に依頼するかの三択になると思います。告訴状の作成等をご自分でやろうと思っている方は、当サイト内に告訴状の書き方や、書式(ひな形)のダウンロードページがありますので、参考にしてください。
一般的には、弁護士に依頼する方が多いと思います。料金については、安い法律事務所
着手金 40万円
警察の受理報酬 20万円
起訴または有罪報酬 20万円
合計 80万円
が最低ラインです。高額な法律事務所では100万円を優に超えるところもあります。
一方、行政書士の場合ですと、最低価格が3.3万円くらい、最高で20万円くらいです。成功報酬を取っている先生もいますが、取ってない先生が多いと思います。最低ラインで比べると、実に24倍も金額に差があります。
これだけの金額差があって、弁護士に頼んだ場合と行政書士に頼んだ場合で何が違ってくるでしょうか? まず、弁護士と行政書士の違いですが、弁護士は法律問題について全てを扱うことができます。スーパーマルチプレイヤーといったところです。逆に行政書士ができることは非常に限定的です。「代書屋」などと言われる所以です。
告訴事件で考えますと、まず最初に問題になるのが「相談」です。一部の弁護士先生によれば、行政書士は「法律相談」や「事件相談」をしてはならないとのことです。しかし、告訴状を作成するに当たり、事件内容を聞いて罪名を特定し、告訴事実を作成しないと告訴状は作成できません。告訴状の作成は認められているのに、「事件相談」をしてはならないというのは矛盾をはらんでいます。
次に警察受理の問題があります。弁護士は告訴人の告訴に立ち会い、事件を説明し、警察が受理に消極の場合は、交渉し、説得し、抗議する権限があります。しかし、行政書士は告訴に立ち会って告訴人に助言することはできても、警察に対して、交渉し、説得し、抗議することはできません。「紛争」問題について干渉する権限がないからです。
告訴が受理された後、被告訴人側から示談を求めてくることがあります。当然に弁護士はこれに対応して、告訴人の代理人として交渉した上で、契約を締結又は拒絶することができます。行政書士は先に述べたとおり、「紛争」相手と交渉等できませんし、代理人にもなれません。ただし、通常、被告訴人が示談をもちかけてくる場合には、弁護士を使ってくることが多く、告訴人側に弁護士を依頼する義務はないので、相手側の弁護士と直接交渉すれば済む話です。条件や金額に納得がいけば示談書を交わして告訴取消すればいいですし、納得がいかなければ交渉打ち切りにすればいいでしょう。なお、告訴取消書は行政書士が作成することができます。当事務所では告訴状を作成させていただいた方には無料で作成いたします。親告罪(名誉毀損、侮辱、器物損壊、過失傷害等)の場合は、一度取り消した告訴は再告訴できませんので注意してください。
事件が送致されると、事件捜査の主導権は検察官に引き継がれます。検察官の捜査に対し、弁護士は交渉し、要望することができますが行政書士はできません。
不起訴となった場合でその決定に納得いかないときは、弁護士は検察審査会に訴えることができますが行政書士にはできません。
以上のように、弁護士に依頼した場合と行政書士に依頼した場合とでは、できることできないことに大きな差があるのは事実です。ただし、料金の差ははじめに書いたように約24倍です。弁護士ができる業務が、自分の告訴した事件についてどれだけ役立つ可能性があるかをよく考えて、弁護士に依頼するか行政書士に依頼するかを考えていただきたいと思います。
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。
