警察に告訴・告発をする際、弁護士と行政書士のどちらに依頼すべきか

 警察に告訴を考えたときに、自分で全てをやるか、弁護士に依頼するか、行政書士に依頼するかの三択になると思います。告訴状の作成等をご自分でやろうと思っている方は、当サイト内に告訴状の書き方や、書式(ひな形)のダウンロードページがありますので、参考にしてください。

 一般的には、弁護士に依頼する方が多いと思います。料金については、安い法律事務所

着手金       40万円

警察の受理報酬   20万円

起訴または有罪報酬 20万円

合計 80万円

が最低ラインです。高額な法律事務所では100万円を優に超えるところもあります。

 一方、行政書士の場合ですと、最低価格が3.3万円くらい、最高で20万円くらいです。成功報酬を取っている先生もいますが、取ってない先生が多いと思います。最低ラインで比べると、実に24倍も金額に差があります。

 これだけの金額差があって、弁護士に頼んだ場合と行政書士に頼んだ場合で何が違ってくるでしょうか? まず、弁護士と行政書士の違いですが、弁護士は法律問題について全てを扱うことができます。スーパーマルチプレイヤーといったところです。逆に行政書士ができることは非常に限定的です。「代書屋」などと言われる所以です。

 告訴事件で考えますと、まず最初に問題になるのが「相談」です。一部の弁護士先生によれば、行政書士は「法律相談」や「事件相談」をしてはならないとのことです。しかし、告訴状を作成するに当たり、事件内容を聞いて罪名を特定し、告訴事実を作成しないと告訴状は作成できません。告訴状の作成は認められているのに、「事件相談」をしてはならないというのは矛盾をはらんでいます。

 次に警察受理の問題があります。弁護士は告訴人の告訴に立ち会い、事件を説明し、警察が受理に消極の場合は、交渉し、説得し、抗議する権限があります。しかし、行政書士は告訴に立ち会って告訴人に助言することはできても、警察に対して、交渉し、説得し、抗議することはできません。「紛争」問題について干渉する権限がないからです。

 告訴が受理された後、被告訴人側から示談を求めてくることがあります。当然に弁護士はこれに対応して、告訴人の代理人として交渉した上で、契約を締結又は拒絶することができます。行政書士は先に述べたとおり、「紛争」相手と交渉等できませんし、代理人にもなれません。ただし、通常、被告訴人が示談をもちかけてくる場合には、弁護士を使ってくることが多く、告訴人側に弁護士を依頼する義務はないので、相手側の弁護士と直接交渉すれば済む話です。条件や金額に納得がいけば示談書を交わして告訴取消すればいいですし、納得がいかなければ交渉打ち切りにすればいいでしょう。なお、告訴取消書は行政書士が作成することができます。当事務所では告訴状を作成させていただいた方には無料で作成いたします。親告罪(名誉毀損、侮辱、器物損壊、過失傷害等)の場合は、一度取り消した告訴は再告訴できませんので注意してください。

 事件が送致されると、事件捜査の主導権は検察官に引き継がれます。検察官の捜査に対し、弁護士は交渉し、要望することができますが行政書士はできません。

 不起訴となった場合でその決定に納得いかないときは、弁護士は検察審査会に訴えることができますが行政書士にはできません。

 以上のように、弁護士に依頼した場合と行政書士に依頼した場合とでは、できることできないことに大きな差があるのは事実です。ただし、料金の差ははじめに書いたように約24倍です。弁護士ができる業務が、自分の告訴した事件についてどれだけ役立つ可能性があるかをよく考えて、弁護士に依頼するか行政書士に依頼するかを考えていただきたいと思います。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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