告訴事実の書き方8(詐欺4 地面師詐欺)

 地面師詐欺とは、転売すればいかにも儲かりそうな土地を、その土地の所有者になりすました偽者が、まんまと買いに来た相手に売るふりをしてお金を騙し取る手口です。犯人たちは、本物の所有者とは何の関係もなく、もちろん仲介を依頼されたわけでもないので、お金を払った被害者は泣き寝入りするしかありません。

 積水ハウス事件や最近ではネット配信ドラマになったりして話題になっていますが、実は古くからある手口で昭和の時代からあります。振り込め詐欺などと違い、面接犯ですので、最終的に犯人は捕まる確率が高いのですが、とにかく金額が大きい(積水ハウス事件は55億円以上)ので、5、6年懲役に行くとしても、シャバで真面目に働くよりもはるかに儲かるので、同じ犯人たちが刑務所を出たり入ったりしながらずっと続けているのが事実です。

 主犯格らは犯罪常習者でだいたい人相が悪いので、所有者役にはその辺にいそうなじいさん、ばあさんが選ばれます。実際、見たことがありますが、よくこんな普通のばあさん探してきたなと関心するほど普通のばあさんでした。一説によると、借金を返せなくなった人間の中から連れてきて、借金を帳消しにする条件で役者をやらせると聞いたことがあります(真偽不明)。なお、立派な共犯者なので、主犯格と一緒に逮捕されるのは当然のことです。

 地面師詐欺にもいろいろなやり方があるのですが、ここでは偽者所有者が売るふりをする典型的な手口の告訴事実記載例を載せます。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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