犯人がよくわからない場合の被告訴人・被告発人の書き方【元刑事が解説】

ネットで知り合った相手から被害を受けた、車を壊された、嫌がらせを受けている――しかし、「犯人はこの人かもしれない」と疑っていても、決定的な証拠がないケースは少なくありません。

例えば、

  • ネットで知り合った人物から被害を受けた
  • 車を壊されたが証拠がない
  • 隣人が怪しいが確証がない
  • 一人は犯人だとわかっているが、もう一人の関与は不明

このような場合、告訴状の「被告訴人」欄に誰の名前を書くべきか悩む方は非常に多いです。

証拠がないのに告訴状に名前を書いても大丈夫?

「怪しい」というだけで十分な証拠がない相手を、告訴状の被告訴人欄に記載するのは慎重になるべきです。

なぜなら、根拠が乏しいまま特定の人物を犯人として名指しした場合、状況によっては虚偽告訴罪の問題が生じる可能性があるからです。

もちろん、正当な疑いに基づく相談や申告まで直ちに違法になるわけではありませんが、確証のない相手を断定的に記載することにはリスクがあります。

犯人がわからない場合は「不詳」と記載する

犯人が誰かわからない場合、告訴状の被告訴人欄は「不詳」と記載するのが一般的です。

また、

  • 犯人のうち一人だけ身元が判明している
    → 判明している人物のみ記載
  • 共犯者がいる可能性はあるが特定できない
    → 不明者については「不詳」

この方法で問題ありません。

告訴は「犯人」に対してではなく「事件」に対して行うもの

ここで重要なのは、告訴は特定の犯人個人に対してするものではなく、犯罪事実(事件)について処罰を求める手続きだという点です。

そのため、警察が告訴を受理すれば、

  1. 事件について捜査を開始
  2. 証拠を集める
  3. 被疑者(犯人)を特定
  4. 関与した者を順次送致

という流れになります。

つまり、告訴状に名前を書かなかった人物でも、捜査で関与が判明すれば処分対象になります。

告訴の「不可分の原則」とは?

この考え方を法律上、**告訴の不可分(不可分の原則)**といいます。

これは、ある犯罪について告訴がなされると、その効力が特定の一人だけでなく、その犯行に関与した共犯者全員にも及ぶという考え方です。

そのため、

「共犯者かもしれないけれど証拠がないから名前を書かないと、その人は処罰されないのでは?」

と心配する必要はありません。

警察の捜査で関与が明らかになれば、告訴状に名前がなくても適切に捜査対象となります。

まとめ|犯人が不明でも告訴は可能

告訴状の被告訴人欄で迷ったら、証拠の有無を基準に慎重に判断しましょう。

  • 犯人が不明 → 「不詳」
  • 一人だけ判明 → その人のみ記載
  • 共犯の疑いがあるが証拠なし → 無理に名前を書かない
  • 告訴の効力 → 関与した全員に及ぶ(告訴の不可分)

犯人がはっきりしないからといって、告訴をあきらめる必要はありません。まずは事件の内容を整理し、適切な形で告訴状を作成することが大切です。

○警察への告訴状・告発状の作成は元警視庁刑事の行政書士にお任せください。こちら


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。

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