せっかく裁判で勝訴したのに財産を隠匿・譲渡された場合【元刑事が解説】
「せっかく裁判で勝訴したのに、相手が財産を隠して回収できない…」
このようなケースは珍しくありません。
結論から言うと、判決確定後に財産を隠匿・仮装譲渡する行為は、刑事責任を問える可能性があります。
本記事では、元刑事の視点から、法的根拠と具体的な対応方法をわかりやすく解説します。
財産隠匿は犯罪になる|強制執行妨害目的財産損壊等罪とは
相手方が財産を隠した場合、成立が検討されるのが
**刑法96条の2 強制執行妨害目的財産損壊等罪**です。
この罪は、債権者による強制執行を免れる目的で、財産を処分・隠匿する行為を処罰するものです。
対象となる典型行為
- 財産の隠匿(預金の移動・現金化など)
- 財産の損壊
- 仮装譲渡(名義だけ他人に移す)
- 仮装債務の負担(架空の借金を作る)
判決がなくても成立するケース
この犯罪は、以下のようなケースでも成立します。
- 判決が確定する前に財産を隠した場合
- 強制執行認諾文言付き公正証書がある場合
つまり、「まだ差押えされていないから大丈夫」という理屈は通用しません。
また、実際に強制執行が妨害された結果は不要とされています。
目的があれば成立し得る点が重要です。
民事だけでなく刑事対応も可能
この罪は、法改正により
**公務の執行を妨害する犯罪(国家法益)**に位置づけられています。
そのため、
- 被害者は「個人」ではなく「国家」
- 手続は「告訴」ではなく告発
となります。
告訴ではなく告発になる理由
通常、被害者が処罰を求める場合は「告訴」を行います。
しかし本罪では、
- 守られる利益:国家の司法機能
- 被害主体:国
という構造のため、告発状の提出が必要です。
実務上の対処法(重要)
財産隠匿が疑われる場合は、次の対応を検討してください。
1. 証拠の確保
- 不自然な資産移動の記録
- 登記簿の変動
- 通帳履歴や取引記録
2. 民事手続の併用
- 財産開示手続
- 第三者からの情報取得手続
3. 刑事告発の検討
- 告発状の作成
- 証拠資料の整理
- 警察または検察への提出
まとめ|泣き寝入りしないために
裁判で勝訴しても、相手が財産を隠せば回収できない——
これは現実に多く発生しています。
しかし、
- 財産隠匿は犯罪になり得る
- 判決前でも成立する可能性がある
- 告発による刑事対応が可能
という点を押さえておけば、適切な対抗手段を取ることができます。
○警察への告訴状・告発状の作成は元警視庁刑事の行政書士にお任せください。こちら
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました。
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。


