告訴状の書き方

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 被害届と違って告訴状に決まった書式はありません。なので、警察署に行って「告訴状の用紙ください」と言ってももらえません。とはいえ、過去からの積み重ねである程度のスタイルは確立されていますので、以下に説明いたします。
 まず、告訴状に最低限記載が必要な記載事項を挙げます。
  1 作成日
  2 宛先(検察官又は警察署長)
  3 告訴人の人定事項(住居、氏名、年齢等)
  4 被告訴人の人定事項(不明の場合は「不詳」で可能)
  5 告訴事実(被害内容)
  6 被告訴人に対し処罰を求める意志表示
 参考書などを見ますと「罪名・条文については必ずしも記載の必要は無い」と書いてあります。しかし、これまでに何百という告訴状を見てきましたが、罪名が書いてなかったものは一度も見たことがありません。
 捜査書類の用紙は、A4横書き、片面印刷、左綴じと決まっていますので、それに従ってください。フォントはMS明朝で12ポイントが標準です。また、捜査書類は左側に穴を開けて綴じますので、用紙の左側には3センチ程度の余白を設けてください。

1 日付について
 告訴状は、持ち込んだその場で受理されることは珍しく、普通はコピーの預かりになることが多いので、日付欄の月と日は空欄でも構いません。

2 宛先について
 警察署に提出する場合、○○県○○警察署長殿でも可能ですが、現役時代にある検察官から「告訴は司法警察員しか受理できないのだから、宛先名は『○○県○○警察署長司法警察員警視正○○○○殿』が正しい。」と言われたことがあります。しかし、司法警察員ではない(つまり巡査)警察署長なんているわけがないので、どちらでもいいと思います。検察庁の場合は「○○地方検察庁検察官殿」と記載します。
 警察署の宛名は、各都道府県警によって記載方法が異なります。下記を参照してください。
 警視庁
  警視庁○○警察署長
  司法警察員警視 ○○ ○○ 殿 
 府警
  ○○府○○警察署長
  司法警察員警視 ○○ ○○ 殿
   ※「府」の後に「警察」や「警」が入らないので注意してください。
 県警
  ○○県○○警察署長
  司法警察員警視 ○○ ○○ 殿
   ※「県」の後に「警察」や「警」が入らないので注意してください。
 北海道警
  北海道××方面○○警察署長
  司法警察員警視 ○○ ○○ 殿
   ※「××」の部分には「札幌」や「函館」のような地名が入ります。

3 告訴人人定事項
 一般的には、住居、職業、氏名、年齢(生年月日)、電話番号の順に記載します。住居は、住民票の場所ではなく、今現在実際に住んでいる場所を記載します。職業は「会社員」だけでもいいですが、事件が職場絡みであれば「株式会社○○営業第1課主任」などと部署名や役職について記載してもいいでしょう。「アルバイト」や「フリーター」は、雇用形態であって職名ではないので、具体的に「ガソリンスタンド店員」「トラック運転手」などと記載します。氏名は戸籍通りに記載します。記名(印字)でも良いですが、自署のほうが警察官の受けはいいです。名前の右側に押印します。印鑑は実印である必要はありませんが、大量生産であることが明白なシャチハタは不可です。芸名や通名がある場合は、「吉田守こと新田俊之」などと記載します。後ろが本名です。読みが難解な場合はふりがなをふってください。年齢は、平成○年○月○日生(○○歳)と記載するのが一般的です。

4 被告訴人人定事項
  一切わからないのであれば「不詳」だけで構いません。一部わかっている場合は
    住居 不詳
    職業 不詳
    氏名 自称 和田(わだ) (とおる)
    年齢 30歳から35歳くらい
    特徴 身長175センチメートルくらい、体格やせ型、髪黒色短め
    電話番号 090-○○○○-○○○○
などと記載してください。共犯事件で、被告訴人が複数の場合は
    被告訴人
    甲 住居
      職業
      氏名
    乙 住居
      職業
      氏名
    丙 住居
      職業
      氏名
 のように記載します。

5 告訴の趣旨
 被告訴人に対し厳重処罰を求める旨を記載します。

6 告訴事実
 被告訴人の犯した犯罪の内容について記載します。告訴状の中で一番重要かつ難しい項目です。警察官が作成する「犯罪事実」のような文章を作るのはなかなか難しいので、いつどこで誰が何をしたかの平易文でも構いません。ただし、詐欺罪なのに騙された状況が入ってない事実を書けば刑事に「これでは何の犯罪にもならないので受理できません。」と言われてしまうかもしれません。本格的な事実を書こうと思ったら、大きな本屋に行けば「犯罪事実集」が売っています。
 犯行回数が多数回の場合、「別紙犯行一覧表のとおり」などとして別紙を付けます。別紙はエクセル等で表形式で作成し、財産犯であれば、左から順に番号、犯行日時、犯行場所、被害金額(被害品名)等を列記し、最下段に被害額の合計金額を記載します。
 犯行の発生日は、公訴時効の起算日として必須なので、絶対に記載が必要です。日にちの特定ができない場合でも、「令和5年8月頃」程度の特定が必要です。犯行場所も必要ですが、相手が電話で脅してきたような場合には相手の位置がわかりませんから、推定される場所「埼玉県内又はその近県」のように記載します。

7 告訴の事情
 必須事項ではありません。被告訴人との関係や、事件後の状況などを記載します。告訴人の陳述書があってその辺りのことが記載されていれば、本事項は必要ありません。

8 立証方法
 これも必須事項ではありません。証拠資料、目撃者や参考人の名前などを記載します。

9 添付資料
 告訴状本文に添付する資料名を列記します。陳述書、契約書類などの写し、現場写真などになります。

10 その他
 漢字は当用漢字が基本です。難解な漢字を使う必要はありません。
 綴じる際はホッチキスでいいですが、数十枚以上になってホッチキスでは綴じられない場合は、2穴パンチで穴を開けて綴り紐で綴ってください。
 用紙は、ことさら厚くて白い高級紙を使う必要はありませんが、安いコピー紙だと折れたり破れたりしやすいので中程度の用紙でいいと思います。
 間違いの訂正は二本線で消してその上に手書きで記載し、手書きした文字の上に押印します。
 文字は全角が基本ですが、英語や型式名などでアルファベッドを記載する場合は半角でも可です。3人、5個などと記載する場合の数字は全角を使ってください。
 用紙と用紙の割り印は必要ありません。捨て印も不要です。
 告訴状の1枚目には受理印が押されますので、下段に最低でも2センチ程度の余白を設けましょう。
 写真を添付する場合、A4の写真用紙にそのまま印刷してもいいですし、L版に印刷してA4の紙に貼ってもいいです。ただし、後者の場合、糊で貼ると乾燥後に大きくたわんでしまうので、薄手の両面テープで貼りましょう。

窃盗罪
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淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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