警視庁捜査二課の黒歴史|汚職事件を追う「6知」が消えた理由【元警視庁刑事のコラム】

警視庁捜査二課は、詐欺事件、業務上横領、背任、偽札事件、選挙違反、贈収賄事件などの知能犯罪を担当する部署です。警察ドラマなどでも登場することがありますが、実際にはどのような仕事をしているのでしょうか。

私は元刑事として、実際に警視庁捜査二課で勤務していました。その経験から、今回は警視庁捜査二課の内部事情と、かつて存在した汚職捜査専門部署「6知(第6知能犯係)」の実態についてお話しします。

警視庁捜査二課長はキャリア官僚のポスト

警視庁捜査二課のトップである捜査二課長は、通常、警察庁採用のいわゆるキャリア官僚が就くポストです。

東京大学や京都大学などの難関大学出身者が多く、将来的に警察庁長官などの要職に進むケースもあるため、警察組織の中でもエリートコースとされています。

私が捜査二課に在籍していた当時、あるキャリア官僚が新たに課長として赴任してきました。その課長の持論は、

「捜査二課の最大の使命は、汚職事件(贈収賄事件)の摘発だ」

というものでした。

汚職捜査専門部署「6知(第6知能犯係)」の新設

その課長は赴任直後、捜査二課内から人員を集めて、**汚職事件専門の新部署「第6知能犯係(通称:6知)」**を新設しました。

当時すでに汚職事件を扱う部署として「4知」「5知」が存在していましたが、それに加えてさらに新部署を作ったため、汚職捜査の人員は実質的に大幅増員となりました。私も発足メンバーの一人でした。

しかし、現実はそう簡単ではありません。

汚職事件は簡単に検挙できない

贈収賄や汚職事件の捜査は、警察の中でも特に難しい分野です。

その理由は明確です。

  • 犯行が密室で行われる
  • 当事者同士だけで完結する
  • 目撃者がほぼ存在しない
  • 証拠が表に出にくい
  • 関係者が口を割らない

そのため、警察官がゼロから独自に汚職事件を掘り起こして立件するケースは非常に少なく、実際には内部通報や関係者からの情報提供(いわゆるタレコミ)をきっかけに捜査が始まることがほとんどです。

つまり、人員を増やせば事件検挙数が増えるという単純な話ではありません。

6知で起きた不祥事

ところが、この「6知」は別の意味で問題を起こしました。

発足から1年も経たないうちに、所属していたある捜査員が不正行為を行い、同じ警視庁の警察官に逮捕され、懲戒免職となったのです。

私と同じ階級の人物でしたが、普段から同僚への挨拶すら無視するような人物だったため、逮捕の知らせには驚いたものの、正直なところ複雑な感情を抱きました。

パワハラ問題と警察官の自殺

その後、私は捜査二課内の別部署へ異動しました。

しかし、その後さらに深刻な出来事が起きます。

6知に所属していた別の捜査員(警部補)が、自殺してしまったのです。

詳細は直接把握していませんが、関係者の話では、汚職事件の情報がなかなか入らない状況の中で、上司による厳しいプレッシャーやパワハラ的な指導があったと聞いています。

成果が出にくい部署ほど、現場の負担が過剰になることがあります。

結局「6知」は何だったのか

結果として、第6知能犯係(6知)は、

  • 汚職事件の検挙実績:ゼロ
  • 所属捜査員の逮捕:1人
  • 所属捜査員の自殺:1人

という、極めて重い結果だけを残しました。

そして、この部署を新設した捜査二課長が警察庁へ戻った直後、6知は解体され、消滅しました。

組織改革はトップの理念だけで動くことがあります。しかし、現場の実情を無視した改革は、時として大きなひずみを生むこともあります。

亡くなられた方のご冥福を心よりお祈りします。

○警察への告訴状・告発状の作成は元警視庁刑事の行政書士にお任せください。こちら


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。

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