告訴されたらどうなる?不起訴でも受ける6つの不利益を元刑事が解説
告訴・告発は、犯罪被害者が加害者の刑事責任を問うために行う重要な手続きです。警察が告訴・告発を受理して捜査を開始し、検察官が起訴して裁判で有罪判決が確定すれば、被告訴人(加害者)は刑事罰を受けます。
では、不起訴処分や無罪判決になった場合、告訴された側には何の影響もないのでしょうか。
結論からいえば、そのようなことはありません。実際には、告訴された時点から被告訴人には精神的・社会的・法的にさまざまな不利益が生じます。
この記事では、元刑事の経験をもとに、告訴されたらどうなるのか、不起訴でも残るデメリットや影響について詳しく解説します。
1.警察から呼び出され、被疑者として取り調べを受ける
告訴が受理されると、警察は本格的な捜査を開始します。証拠がある程度集まると、被告訴人は逮捕または任意で事情聴取を受けることになります。
任意捜査であっても、警察署へ呼び出され、「被疑者」として取調べを受けます。
取調べは1回で終わることは少なく、2~3回、多い事件では数十回に及ぶこともあります。長時間の取調べは精神的・肉体的な負担が大きく、仕事や日常生活にも大きな影響を与えます。
なお、正当な理由なく呼び出しを拒否し続けると、逮捕が検討される可能性もあります。
2.自宅や勤務先の家宅捜索(ガサ)を受ける可能性がある
事件の証拠収集が必要と判断されれば、自宅や会社に対して**家宅捜索(捜索差押え)**が行われることがあります。
家宅捜索では、
- スマートフォン
- パソコン
- 通帳
- 印鑑
- 契約書
- USBメモリ
などが押収されることがあり、事件が終結するまで返還されないケースも少なくありません。
また、自宅や職場へ警察が出入りすることで、家族や近隣住民、勤務先に事件が知られ、社会的信用を失うリスクもあります。
3.逮捕される可能性がある
告訴されたからといって必ず逮捕されるわけではありません。
しかし、
- 逃亡のおそれがある
- 証拠隠滅のおそれがある
と判断されると、逮捕される可能性があります。
例えば、次のような事情がある場合は逮捕の可能性が高くなります。
- 一定の住居がない
- 無職または定職に就いていない
- 共犯者がいる
- 証拠を隠そうとする行動がある
- 被害者や関係者へ働きかけている
逮捕されると最大22日間の身体拘束を受ける可能性があり、その間は仕事や家庭生活にも大きな影響が及びます。
4.不起訴でも「前歴」が警察に記録される
「不起訴になれば何も残らない」と思われがちですが、これは誤解です。
事件として送致されると、不起訴や無罪であっても「前歴」として警察内部犯罪歴データに記録されます。
前歴とは、警察・検察の捜査対象となった履歴を意味し、一般の人が確認できるものではありませんが、警察内部では記録として管理されます。
一方、有罪判決が確定すると前歴ではなく前科となり、法的な意味合いも大きく異なります。
5.指紋・顔写真・DNAを採取されることがある
逮捕された場合には、刑事手続に基づき
- 指紋採取
- 顔写真撮影
- DNA採取
が行われます。
また、任意事件として書類送致される場合でも、警察から強く協力を求められ、実際には多くの被疑者が採取に応じています。
採取された資料は、事件の捜査記録として保管されます。
6.マスコミやインターネットで報道される可能性がある
事件の重大性や社会的関心の高さによっては、テレビ・新聞・インターネットニュースなどで実名または匿名報道されることがあります。
特に、
- 公務員
- 教員
- 医師
- 著名人
- 会社役員
など社会的立場のある人は報道対象になりやすい傾向があります。
また、逮捕された場合には送検時の映像や写真が報道されるケースもあり、一度インターネット上に掲載されると完全な削除は容易ではありません。
告訴された場合によくある質問
Q.告訴されたら必ず逮捕されますか?
いいえ。告訴されたからといって必ず逮捕されるわけではありません。任意捜査(書類送検)で終わる事件も数多くあります。ただし、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断された場合は逮捕される可能性があります。
Q.不起訴なら前科は付きませんか?
はい。不起訴処分になれば前科は付きません。
しかし、事件として捜査・送致された事実は「前歴」として警察内部に記録されます。
まとめ|告訴されると不起訴でも大きな不利益を受ける
告訴されると、たとえ不起訴や無罪になったとしても、
- 被疑者として取調べを受ける
- 家宅捜索を受ける可能性がある
- 逮捕される可能性がある
- 前歴として警察内部に記録される
- 指紋・DNA・顔写真を採取されることがある
- 社会的信用を失う可能性がある
など、さまざまな影響を受けます。
そのため、告訴・告発は単なる「届出」ではなく、被告訴人の人生に重大な影響を及ぼす刑事手続であることを理解しておく必要があります。
○警察への告訴状・告発状の作成は元警視庁刑事の行政書士にお任せください。こちら
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました。
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。


