告訴状はどこの警察署に提出すればいい?警察の管轄権と実務上のルールを元刑事が解説
「告訴状はどこの警察署に提出すればいいの?」
「事件が遠方で起きた場合でも、近くの警察署へ提出できるの?」
「インターネット上の名誉毀損は、どこの警察が管轄するの?」
このような疑問を持つ方は少なくありません。
結論から言えば、**法律上は全国どこの警察署にも告訴状を提出できます。**しかし、警察実務では「事件を管轄する警察署へ提出する」のが原則であり、提出先を間違えると受理されない可能性があります。
元警視庁刑事として数多くの告訴事件を取り扱った経験をもとに、警察の管轄権と告訴状の提出先について詳しく解説します。
告訴状はどこの警察署にも提出できる?警察の管轄権とは
告訴状の提出先については、犯罪捜査規範第63条により、告訴・告発は全国どこの警察署でも受け付けることができると定められています。
例えば、
- 北海道札幌市の警察署へ、沖縄県で発生した事件の告訴状を提出する
- 東京の警察署へ、大阪で発生した事件の告訴状を提出する
このような提出方法も、法律上は禁止されていません。
しかし、これはあくまでも法的なルールであり、実際の警察運用は異なります。
実務では事件発生地を管轄する警察署への提出が原則
警察には法律には明文化されていない実務上の考え方があります。
受理責任
一度正式に告訴状を受理した警察署は、その事件について最後まで責任を持って対応すべきという考え方です。
認知署優先
事件を最初に認知した警察署が、その事件を担当するという実務上のルールです。
これらは法律ではなく警察内部の運用ですが、全国の警察で広く採用されています。
そのため、事件発生地を管轄する警察署以外へ告訴状を提出すると、「管轄の警察署へ提出してください」と案内されるケースが非常に多いのが実情です。
他県の警察署へ告訴状を提出するとどうなる?
例えば、沖縄県で発生した事件について、札幌市内の警察署へ告訴状を提出したとします。
仮に札幌の警察署が受理した場合でも、北海道の刑事が沖縄県まで何度も出張して捜査することは現実的ではありません。
そのため、事件を沖縄県警へ移送しようとします。
しかし、移送先の警察署からは
「こちらに断りなく受理されたのですから、最後までそちらで責任を持って捜査すべきです」
として断られることが多くあります。
また、相談段階で事前に移送の可否を確認しても、
「事件発生地の警察署へ直接相談するよう伝えてください」
と回答されるのが一般的です。
このような理由から、実務では事件発生地を管轄する警察署へ告訴状を提出することが最も受理されやすく、手続もスムーズに進みます。
インターネット上の名誉毀損・誹謗中傷はどこの警察署へ告訴する?
近年増えているのが、SNSや掲示板などで発生するインターネット上の名誉毀損や誹謗中傷です。
例えば、
- 被害者は札幌市在住
- 加害者は沖縄県在住
というケースも珍しくありません。
このようなネット犯罪では、被害結果が告訴人の居住地でも発生していることから、被害者の住所地を管轄する警察署で告訴状が受理されることになります。
被告訴人が遠方に住んでいる場合の捜査はどうなる?
名誉毀損罪や侮辱罪などでは、通常は逮捕ではなく任意捜査が行われます。
被告訴人が
「札幌までは行けません」
と回答した場合には、担当刑事が沖縄県まで出張して事情聴取を行うケースもあります。
その後、捜査が終了すると事件は担当警察署から担当地方検察庁へ書類送致されます。
検察庁には警察のような「受理責任」や「認知署優先」といった実務上の運用はないため、被告訴人の住所地などを管轄する地方検察庁へ移送されることが一般的です。
告訴状の提出先で迷ったときのポイント
告訴状の提出先について迷った場合は、次の点を覚えておくとよいでしょう。
- 法律上は全国どこの警察署にも告訴状を提出できる
- 実務では事件発生地を管轄する警察署へ提出するのが原則
- 他県の警察署では受理されない、または管轄署を案内されることが多い
- インターネット上の名誉毀損や誹謗中傷は、被害者の居住地の警察署が担当になる
- 提出先を誤ると、受理までに時間がかかる可能性がある
告訴状の提出先や管轄でお困りの方へ
「どこの警察署へ告訴状を提出すればよいかわからない」
「事件が遠方で発生したため管轄が複雑」
「インターネット上の誹謗中傷で告訴を検討している」
このようなケースでは、事件の内容によって最適な提出先が異なります。
当事務所では、元警視庁刑事としての実務経験を踏まえ、事件内容や管轄を分析したうえで、受理されやすい告訴状の作成と提出方法についてサポートしています。
○警察への告訴状・告発状の作成は元警視庁刑事の行政書士にお任せください。こちら
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました。
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。


