告訴状に添付する証拠資料とは?罪名別に必要な証拠とそのまとめ方を元刑事が解説
告訴状を作成して警察へ提出する際、「どのような証拠資料を添付すればよいのか分からない」という方は少なくありません。
告訴状は単に犯罪被害を訴える書類ではなく、「犯罪の事実」と「それを裏付ける証拠」を示すことが重要です。証拠が充実しているほど、警察が事件を理解しやすくなり、告訴受理やその後の捜査にも大きく役立ちます。
ただし、必要となる証拠資料は犯罪の種類(罪名)によって異なります。ここでは、告訴されることが多い代表的な犯罪について、添付すべき証拠資料を元刑事の視点から解説します。
1 傷害罪・暴行罪の告訴に必要な証拠資料
傷害罪や暴行罪では、「暴行があったこと」と「ケガをしたこと」を証明する証拠が重要になります。
防犯カメラ映像
犯行状況を撮影した動画があれば非常に有力な証拠です。
自治体や商店街、店舗などが設置している防犯カメラ映像は、個人が請求しても提供されることはほとんどありません。そのため、防犯カメラの設置場所を確認したら、警察に映像の保全・提出を依頼しましょう。
ケガの写真
暴行を受けた部位は、複数枚の写真を撮影してください。
- 顔や身体の傷
- 腫れや内出血
- 出血状況
- 血痕が落ちた床や道路
- 血液が付着した衣服(着用したまま撮影)
時間の経過で傷は変化するため、できるだけ早く撮影することが大切です。
凶器
棒や工具など道具を使用した暴行であれば、その道具も撮影してください。
可能であれば素手で触れず、そのまま保管し、警察から提出を求められた際に提出しましょう。
診断書
できるだけ早く病院で診察を受け、診断書を取得します。
診断書は傷害罪の立証に欠かせない重要な証拠です。
診断書を受け取ったら、
- ケガの部位
- ケガの内容
- 左右の記載
などに誤りがないか確認してください。
例えば、左頬を殴られたにもかかわらず「右顎打撲」と記載されていると、証拠価値に影響する場合があります。
また、被害内容を医師に説明し、原因を記載してもらってください(記載例:知人に殴打されたことによる、全治2週間を要する右顔面打撲)。
また、診断書代の領収書(レシート)は必ず保管してください。事件によっては警察が費用を負担する場合があります。
目撃者の陳述書
目撃者が協力してくれる場合は、「陳述書」や「説明書」を作成して署名・押印してもらいましょう。
本文はパソコンで作成して問題ありません。
2 横領罪・業務上横領罪の告訴に必要な証拠資料
横領罪では、
- 財産を預けた事実
- 被告訴人が預かっていた事実
- 返還されなかった事実
を証明することが重要です。
現金の場合
現金であれば、その出所を証明する資料を準備します。
例えば、
- 銀行口座の取引明細書
- ATM利用明細
- ネットバンキングの画面
などが証拠になります。
物品の場合
腕時計、美術品などの場合は、
- 領収書
- 保証書
- 鑑定書
- 製造番号・シリアル番号
などを添付します。
預けたことを証明する資料
以下のような資料があると非常に有効です。
- 契約書
- 預り証
- 依頼書
- メール
- LINE
- SMS
業務上横領の場合
業務上横領では、「業務として継続的に財産を管理する立場」であったことを証明する必要があります。
例えば、
- 雇用契約書
- 就業規則
- 社内規程
- 業務分担表
- 組織図
- 名刺
などが証拠になります。
横領金の使い道
現金横領事件では、横領した金の費消先(使途)が重要になることがあります。
もし本人から聞き取れるのであれば、
- ホストクラブ名
- 競馬場・場外馬券場名
- パチンコ店名
- ブランド品購入先
など、できる限り具体的に確認して告訴状へ記載すると捜査の参考になります。
3 詐欺罪の告訴に必要な証拠資料
詐欺罪では、「騙されたこと」と「その結果、財産を交付したこと」を証明する資料が重要になります。
契約関係の書類
以下の資料はすべて証拠になります。
- パンフレット
- 名刺
- 契約書
- 見積書
- 請求書
- 領収書
指紋採取が必要になる可能性もあるため、できるだけ素手で触れないように保管してください。
録音・録画
録音や録画は非常に有力な証拠です。
録音データは文字起こし(反訳)を作成すると、警察が内容を確認しやすくなります。
音声反訳業者へ依頼しても比較的安価に作成できます。
メール・LINE
メールは印刷して提出します。
LINEはテキスト形式で保存できますが、画像やスタンプが多い場合は意味が伝わりにくくなることがあります。
その場合は、
- 全体はテキスト化
- 重要部分のみスクリーンショット
という方法が実務上おすすめです。
お金や物品の出所
現金であれば銀行口座の取引明細書、物品であれば領収書や保証書などを添付し、被害財産を証明します。
4 名誉毀損罪・侮辱罪の告訴に必要な証拠資料
インターネット上の投稿
SNSや掲示板などの投稿は、
- URLが確認できる状態
- 投稿日時が確認できる状態
でスクリーンショットを保存・印刷してください。
さらに、
- 問題の投稿
- サイトのトップページ
- 投稿全体の流れ
も保存しておくことが重要です。
掲示板では前後のやり取りによって意味が変わることがあるため、一部分だけではなく、一連の投稿を保存してください。
面前での名誉毀損・侮辱
インターネットではなく、多数人の前で発言された場合は、その場にいた人の証言が重要になります。
協力してくれる方には、
- 陳述書
- 説明書
などを作成してもらいましょう。
本文はパソコンで作成して構いませんが、氏名は自筆で、できれば押印もしてもらうことをおすすめします。
録音がある場合は文字起こしを添付すると、証拠として整理しやすくなります。
告訴状の証拠資料は「量」より「整理」が重要
証拠は多ければよいというものではありません。
重要なのは、
- 時系列に整理されていること
- 告訴状の内容と対応していること
- 警察が短時間で理解できること
です。
証拠が大量にある場合でも、一覧表や時系列表を作成し、必要な箇所にインデックスを付けるだけで、警察の理解度は大きく向上します。
元刑事として数多くの告訴事件を取り扱ってきた経験から言えることですが、「分かりやすく整理された証拠資料」は、警察の捜査担当者にとって非常に高く評価されます。
○警察への告訴状・告発状の作成は元警視庁刑事の行政書士にお任せください。こちら
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました。
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。


