刑事告発とは?告発の意味・やり方・告発状の書き方を元刑事が徹底解説
「刑事告発とは何ですか?」「告発は誰でもできるの?」「告発状の書き方が分からない」と疑問を持つ方は少なくありません。
刑事告発は、犯罪被害者ではない第三者が警察や検察に対して犯罪を申告し、犯人の処罰を求める制度です。薬物犯罪や贈収賄事件など、被害者が明確でない事件でも重要な役割を果たします。
この記事では、元警視庁刑事・行政書士が、刑事告発の意味、告発と告訴の違い、告発状の書き方、提出方法、必要的告発まで分かりやすく解説します。
刑事告発とは?法律上の意味を解説
「刑事告発」という言葉は一般的によく使われますが、刑事訴訟法では単に**「告発」**と規定されています。
そのため、「刑事告発」は法律上の正式名称ではなく、「内部告発」や「公益通報」と区別するために使われる一般的な呼び方です。
本記事では、「刑事告発」と「告発」は同じ意味として説明します。
告発とは?第三者が犯罪を申告する制度
告発とは、
犯罪があったことを、被害者以外の第三者が警察や検察に申告し、犯人の処罰を求めること
をいいます。
例えば、窃盗事件では被害者本人が告訴を行いますが、事件とは直接関係のない第三者が犯罪を知り、警察へ申告する場合は告発になります。
告発できる人
告発するのに特別な資格や立場は不要です。
次のような方でも告発できます。
- 一般市民
- 未成年者
- 外国人
- 法人・会社・官公庁
- 各種団体
つまり、犯罪を知った人であれば原則として誰でも告発できます。
なお、自分自身の犯罪について申告する場合は、告発ではなく自首または任意出頭として取り扱われますので、自分を自分で告発することはできないと考えられます。
告発と告訴の違い
告発と告訴は混同されがちですが、大きな違いがあります。
| 項目 | 告発 | 告訴 |
|---|---|---|
| 行う人 | 被害者以外の第三者 | 犯罪被害者(告訴権者) |
| 処罰意思 | 必要 | 必要 |
| 被害者である必要 | 不要 | 必要 |
| 親告罪への対応 | 原則不可 | 可能 |
告訴は被害者だけが行える制度ですが、告発は第三者でも利用できます。
刑事告発の方法|警察・検察への提出方法
刑事訴訟法では、告発は
- 書面(告発状)
- 口頭
のいずれでも可能とされています。
しかし実務では、ほぼ100%が告発状による書面提出です。
私自身、警視庁で32年間勤務しましたが、口頭による告発を正式受理した事例は一度もありませんでした。
そのため、実際に刑事告発を行う場合は告発状を作成して提出する方法が基本になります。
告発状の書き方|必ず記載すべき5項目
告発状には法律で決められた書式はありません。
ただし、次の事項は必ず記載します。
- 作成年月日(一旦預かりになることがほとんどなので、数字部分は空欄として、正式受理日にペンで記載するのが一般的運用です)
- 提出先(警察署・検察庁)
- 告発人の氏名・年齢(令和5年の警察庁通達以降、被害者や告発人の人定事項は氏名と年齢のみ記載することになっています)
- 告発事実(犯罪事実)
- 犯人の処罰を求める意思表示
これらが不足すると、受理されない可能性があります。
匿名で刑事告発はできる?
結論からいうと、
匿名の告発状は受理されません。
告発人の
- 氏名
- 年齢
を明記する必要があります。
犯人が分からない場合は「不詳」で問題ない
犯人が判明していない場合でも告発は可能です。
その場合は、
被告発人 不詳
と記載すれば問題ありません。
警察は、その後の捜査で犯人を特定します。
告発が受理されるためには具体的な事実が必要
告発状には客観的な犯罪事実を書く必要があります。
例えば、
良い例
令和○年○月○日午後3時頃、東京都○○区○丁目○番地の○○駐車場において、○○が私の財布から現金10万円を窃取した。
一方、
悪い例
○○は薬物を使っていると思う。
○○が私のお金を盗んだ気がする。
○○は、非常に素行不良であり、無職なのに外車に乗り、毎晩飲み歩いているので、何らかの犯罪を敢行していることは間違いないので、捜査すべき。
このような推測や憶測だけでは、告発が受理されることはありません。
刑事告発が利用される主な犯罪
刑事告発は、特に被害者が存在しない犯罪や公共性の高い犯罪で利用されます。
代表例として、
- 薬物犯罪
- 贈収賄事件
- 脱税事件
- 地方公務員法違反
- 弁護士法違反
- 建設業法違反
- 廃棄物処理法違反
- 独占禁止法違反
などがあります。
必要的告発とは?公務員に課される告発義務
告発には、一般人が任意で行う任意的告発のほかに、法律で義務付けられた必要的告発があります。
これは、公務員が職務上犯罪を知った場合に、告発しなければならない制度です。
必要的告発の具体例
- 税務署職員が脱税を把握した場合
- 消防職員が消防法違反を確認した場合
- 市区町村職員が生活保護費の不正受給を発見した場合
一方で、休日や私生活で偶然犯罪を知った場合など、職務とは無関係な場面では告発義務はありません。
刑事告発を成功させるポイント
刑事告発では、単に犯罪を疑うだけではなく、犯罪の成立を裏付ける資料や証拠をできる限り添付することが重要です。
また、告発状には事実を時系列で整理し、法律上どの犯罪に該当するのかを明確に記載することで、警察や検察に内容が伝わりやすくなります。
まとめ|刑事告発は第三者でも行える重要な制度
刑事告発は、犯罪被害者でなくても第三者が犯罪を申告し、犯人の処罰を求めることができる制度です。
特に、薬物犯罪や贈収賄、脱税など公共性の高い事件では重要な役割を果たしています。
告発状は法律上決まった様式はありませんが、犯罪事実を具体的かつ客観的に記載し、証拠資料を添付することが受理への重要なポイントです。
元刑事としての経験からも、内容が整理された告発状は警察・検察に事案を正確に伝えやすく、適切な捜査につながる可能性が高まります。
○警察への告訴状・告発状の作成は元警視庁刑事の行政書士にお任せください。こちら
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました。
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。


