遠方の警察署に告訴状を提出する方法を元刑事が解説します
詐欺や性犯罪、横領などの犯罪被害に遭った場合、警察へ告訴状を提出することになります。
しかし、
「北海道で被害に遭ったが、現在は大阪に住んでいる」
「東京で発生した事件なのに、今は福岡へ引っ越してしまった」
このようなケースでは、
「現在住んでいる地域の警察署へ告訴状を提出できるのか?」
と疑問に思う方も少なくありません。
結論から言えば、法律上は全国どこの警察署にも告訴状を提出することは可能です。しかし、実際の運用では、事件が発生した地域を管轄する警察署へ提出するよう求められるケースがほとんどです。
告訴状は全国どこの警察署にも提出できる?
刑事訴訟法上、告訴状を提出する警察署に地域的な制限はありません。
そのため、理論上は大阪府警でも北海道警の事件について告訴状を提出できます。
しかし、実務では事情が異なります。
例えば北海道で発生した詐欺事件について、大阪府警へ告訴状を提出しようとすると、
「当署には管轄権がありませんので、事件が発生した北海道○○警察署へご相談ください。」
と案内されることが一般的です。
管轄外の警察署で受理されにくい理由
その理由は、告訴状を受理した警察署には、その事件を捜査し、最終的に検察庁へ送致する責任が生じるためです。
警察には実務上の不文律として
- 受理した警察署が捜査を担当する「受理処理の原則」
- 最初に認知した警察署が事件捜査を行う「認知署責任」
が存在します
そのため、北海道で発生した事件を大阪府警が受理すると、北海道警に移送することは難しく、そのまま捜査を担当しないとなりません。関係者への事情聴取や証拠収集、現場確認などのために何度も北海道へ出張しなければならず、現実的ではありません。
このような事情から、管轄外の警察署では告訴状が受理されないケースがほとんどです。
遠方の警察署へ告訴状を提出する方法
現在住んでいる場所と事件発生地が離れている場合は、次の手順で進めるとスムーズです。
① 被害地を管轄する警察署へ電話で相談する
まずは事件が発生した警察署へ電話し、
「詐欺(または性犯罪)の被害に遭い、告訴状を提出したいのですが、現在は大阪に住んでいるため、何度も訪問することが困難です。」
と事情を説明しましょう。
事前に相談しておくことで、その後の手続きが円滑になります。
② 告訴状のコピーを郵送して事前審査を依頼する
警察から了承を得られたら、
「まず告訴状のコピーを郵送しますので、内容をご確認いただけますか。」
と伝えます。
その後、警察の指示に従って、告訴状のコピーや証拠資料を送付します。
事前に内容を確認してもらうことで、不備があった場合でも修正でき、現地へ行った際に受理されないリスクを減らすことができます。
③ 原本提出と供述調書作成を同日に行う
警察から
「受理できますので、原本と本人確認書類をご持参ください。」
と連絡があったら、
「遠方から伺うため、告訴状の受理と告訴人供述調書の作成を同日にお願いできませんか。」
と相談しましょう。
事情を説明すれば、柔軟に日程を調整してくれる可能性がありますが、複雑な事件であれば、1日だけでは終わらないかもしれません。
遠方への移動回数を減らすことが重要
何も調整しなければ、通常は次のように複数回訪問することになる場合があります。
- 告訴状の提出の相談とコピーを預かっての審査
- 告訴状原本・証拠品の提出
- 告訴人供述調書の作成
例えば、大阪から北海道まで往復する飛行機代が約5万円であれば、3回訪問すると約15万円もの交通費が必要になります。
しかし、事前相談と郵送を活用すれば、現地への訪問を1回にまとめられる可能性が高くなり、交通費や宿泊費、時間的負担を大幅に軽減できます。
告訴状を遠方の警察署へ提出する際のポイント
遠方で発生した事件について告訴状を提出する場合は、次の3点を意識しましょう。
- 被害地を管轄する警察署へ事前に電話相談する
- 告訴状のコピーを郵送し、事前審査を依頼する
- 原本提出と告訴人供述調書の作成を同日に行えるよう調整する
この流れで進めれば、告訴状の受理がスムーズになり、遠距離移動による費用や時間の負担も最小限に抑えることができます。
元刑事としての経験上、事前の電話相談を行うかどうかで、その後の手続きが大きく変わるケースは少なくありません。
遠方の警察署へ告訴状を提出する予定がある方は、まずは事件発生地を管轄する警察署へ相談し、計画的に準備を進めることをおすすめします。
○警察への告訴状・告発状の作成は元警視庁刑事の行政書士にお任せください。こちら
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました。
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。


