犯人が分からなくても告訴・告発はできる?元刑事が捜査の流れを解説
「犯人の名前や住所が分からないと告訴できない」と思われている方は少なくありません。しかし、民事裁判と異なり、犯人が特定できていない場合でも、告訴・告発を行うことは可能です。
この記事では、元刑事の行政書士が、犯人不明の場合の告訴状の書き方や、警察がどのように犯人を特定していくのかを分かりやすく解説します。
犯人が特定できなくても告訴・告発は可能
告訴状や告発状には被告訴人(被告発人)の氏名や住所を記載する欄がありますが、判明している範囲の情報だけで問題ありません。
例えば、次のような情報があれば記載します。
- 氏名またはニックネーム
- 職業
- 年齢(不明の場合は「30歳代」などと記載)
- 電話番号
これらが全く分からない場合は、被告訴人欄に**「不詳」**とだけ記載して提出することも可能です。
重要なのは、犯罪事実と証拠をできる限り具体的に記載することです。
犯人不明でも警察はどのように捜査するのか
告訴状が受理されると、警察は提出された証拠や情報を基に犯人の特定を進めます。
具体的な捜査手法は公務員の守秘義務により公開できませんが、一般的には次のような捜査が行われます。
① 電話番号から契約者を調べる
被告訴人の電話番号が判明している場合、警察は通信事業者へ照会し、契約者情報を確認します。
現在では警察と通信事業者のシステム連携が進んでおり、以前より迅速に情報を取得できるようになっています。
ただし、特殊詐欺などでは他人名義やレンタル携帯(いわゆる飛ばし携帯)が利用されるケースも多く、契約者が真犯人ではないことも少なくありません。
その場合は、関係先への捜索や関係者の取調べなどを通じて実行犯の特定を進めます。
② 名前が分からない・偽名の場合
犯人の氏名が分からない場合や偽名を使用している場合には、本名の特定が必要になります。
例えば、
- 犯行手口が類似している過去事件との照合
- 犯人写真による面割り(写真確認)
- 防犯カメラ映像との照合
- 他県警との情報共有
などを行い、同一人物による犯行であるかを確認します。
特に、
- 地面師詐欺
- 取り込み詐欺
- 投資詐欺
- SNS型ロマンス詐欺
などは同じグループが繰り返し犯行を行うことが多く、過去事件との照合が重要になります。
③ 住所が分からない場合の捜査
氏名や生年月日が判明していても、住所が分からないことは珍しくありません。
また、犯罪者は住民登録をしていないことや、登録住所に居住していないことも多くあります。
そのため警察では、例えば次のような情報から所在を絞り込みます。
- 銀行口座の利用履歴
- ATMの利用場所
- クレジットカードの利用状況
- 車両ナンバー
- 防犯カメラ映像
- 関係者からの聞き込み
- 交通違反履歴
これらを組み合わせることで、生活圏や居住場所を推測していきます。
④ 住居が判明すれば逮捕・捜索へ
犯人の居住先が判明し、逮捕の要件が満たされれば、警察は裁判所へ
- 捜索差押許可状
- 逮捕状
を請求します。
現在では張り込みだけでなく、設置された防犯カメラや各種映像資料を活用し、効率的に行動確認を行うケースが多くなっています。
犯人が分からない事件でも証拠が重要
犯人が不明であっても、次のような証拠は犯人特定に大きく役立ちます。
- LINEやメールのやり取り
- SNSのメッセージ
- 銀行振込記録
- 通話履歴
- 契約書
- 写真・動画
- ドライブレコーダー映像
- 防犯カメラ映像
- 領収書
- ICカードの利用履歴
警察はこれらの証拠を基に捜査を開始するため、できるだけ整理して提出することが重要です。
まとめ|犯人不明でも早めに告訴・告発を検討しましょう
犯人が分からないからといって、告訴や告発を諦める必要はありません。
警察は提出された証拠や情報を基に、
- 電話番号から契約者を調査する
- 類似事件や過去の犯人情報と照合する
- 銀行口座やATM利用履歴を調べる
- 車両や防犯カメラ映像を分析する
- 関係者への聞き込みを行う
など、さまざまな捜査を組み合わせて犯人を特定していきます。
一方で、告訴状の内容が不十分であったり、証拠の整理ができていなかったりすると、受理やその後の捜査に影響することもあります。
犯人が分からない事件であっても、できるだけ早い段階で告訴状を作成し、証拠を整理したうえで警察へ提出することが重要です。
○警察への告訴状・告発状の作成は元警視庁刑事の行政書士にお任せください。こちら
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました。
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。


