被害届・告訴・告発の違いとは?警察への届け出方法を元刑事がわかりやすく解説
犯罪被害に遭ったとき、あるいは犯罪を知ったとき、警察へ届け出る方法には**「被害届」「告訴」「告発」**の3種類があります。
「被害届と告訴の違いは?」
「告発とは何?」
「どれを提出すれば警察は捜査してくれるの?」
このような疑問を持つ方は少なくありません。
実際には、この3つは警察の捜査義務や検察への送致義務が大きく異なる制度です。選択を誤ると、期待した対応を受けられないこともあります。
ここでは、元刑事・行政書士の立場から、被害届・告訴・告発の違い、提出先、警察の対応について詳しく解説します。
被害届とは?受理後の警察の対応
被害届とは、犯罪の被害に遭った事実を警察へ届け出るための書類です。
被害届を提出できる場所
- 交番
- 警察署
被害届が利用される主な犯罪
- 窃盗
- 傷害
- 暴行
- 詐欺
- 恐喝
※刑法に条文がある犯罪となります。特商法違反や商標法違反で被害届を提出することはできません。
被害届を提出すると警察は捜査してくれる?
警察は、犯罪の事実が認められる限り、被害届を受理する義務があります。
しかし、被害届を受理したからといって必ず積極的な捜査を行う義務まではありません。
例えば、
- 防犯カメラがない
- 目撃者がいない
- 犯人の手掛かりがない
といったケースでは、被害届を受理した後も捜査が進まないことがあります。
被害届でも捜査が進むケース
次のような場合は犯人が判明する可能性があります。
- 職務質問で盗難品が見つかった
- 別事件の捜査中に犯人が判明した
- 犯人が自首した
つまり、被害届は「犯罪があったことを警察へ知らせる制度」であり、積極的な捜査を求める制度ではありません。
告訴とは?被害届との違い
告訴とは、犯罪の被害者(または法律で定められた者)が、犯人の処罰を求める意思表示を伴って警察や検察に申告する手続きです。
告訴の例
例えば、
AさんがBさんから暴行を受けた場合
Aさんが「犯人を処罰してください」と警察へ申し出ることが告訴になります。
告訴をすると警察はどうなる?
告訴が適法に受理されると、
- 捜査を行う義務
- 検察へ事件を送致する義務
が発生します。
また、警察は事件を放置することはできず、公訴時効までに捜査結果をまとめて検察へ送致しなければなりません。
そのため、
「犯人をきちんと捜査して処罰してほしい」
という場合には、被害届ではなく告訴が重要になります。
告発とは?第三者が行う手続き
告発とは、犯罪の被害者ではない第三者が、犯罪事実を警察や検察へ申告し、犯人の処罰を求める制度です。
告発の例
例えば、
Aさんが暴行を受け、
その様子を見ていたCさんが
「犯人を処罰してください」
と届け出る場合が告発です。
ただし、被害者本人が
「告訴しない」
と明確に意思表示している事件では、第三者による告発が受理される可能性は極めて低いといえます。
被害届・告訴・告発の違いを比較
| 項目 | 被害届 | 告訴 | 告発 |
|---|---|---|---|
| 提出できる人 | 被害者 | 被害者等 | 第三者 |
| 犯人の処罰意思 | なし | あり | あり |
| 警察の捜査義務 | 一応あり | あり | あり |
| 検察への送致義務 | なし | あり | あり |
| 主な目的 | 被害申告 | 犯人の処罰 | 犯人の処罰 |
親告罪と非親告罪の違い
犯罪には、
- 親告罪
- 非親告罪
があります。
親告罪
親告罪は、被害者の告訴がなければ起訴できない犯罪です。
代表例
- 名誉毀損罪
- 器物損壊罪
- 過失傷害罪
これらは、警察が犯人を特定しても、被害者が告訴しなければ起訴されません。
非親告罪
一方、非親告罪は告訴がなくても起訴できます。
代表例
- 傷害罪
- 詐欺罪
- 窃盗罪
- 横領罪
もっとも、非親告罪でも告訴を行った方が警察の捜査がより適切に進みやすいケースも少なくありません。
告訴・告発はどこへ提出する?
告訴や告発は、
- 警察署
- 都道府県警察本部
- 検察庁
へ提出できます。
ただし、一般の刑事事件では事件発生場所を管轄する警察署へ提出するのが最も現実的です。
法律上はどこの警察署でも提出できますが、最終的に担当するのは管轄警察署です。
最初から管轄警察署へ相談した方が、
- 手続きが早い
- 同じ説明を繰り返さなくて済む
というメリットがあります。
インターネット上の名誉毀損はどこの警察署へ提出する?
SNSや掲示板などのインターネット上の名誉毀損・誹謗中傷は、犯行場所が特定しにくいため、
通常は
- 被害者住所地を管轄する警察署
へ相談します。
事情がある場合には、
- 相手方住所地の警察署
へ提出することもあります。
告訴・告発は平日の昼間に相談するのがおすすめ
告訴や告発の相談は、平日の昼間に行くことをおすすめします。
夜間や土日祝日は、
- 当直勤務
- 最低限の人員
で対応しているため、刑事課員が不在の場合があります。
また、
- 地域課
- 交通課
では、詐欺や横領などの専門的な相談に十分対応できないこともあります。
告訴状・告発状は誰に依頼できる?
警察へ提出する告訴状・告発状は、行政書士が作成できます。
検察庁へ提出する書類は、司法書士が作成できます。
弁護士は、警察・検察の双方に対応できるほか、示談交渉や刑事手続全般を代理することも可能です。
一般的な費用の目安は、
- 行政書士・司法書士:数万円〜十数万円程度
- 弁護士:着手金・成功報酬・実費を含めると高額になるケースもある
ため、目的や予算に応じて専門家を選ぶことが重要です。
まとめ|被害届・告訴・告発の違いを理解して適切な手続きを
| このような場合 | おすすめ |
|---|---|
| 犯罪被害を届け出たい | 被害届 |
| 犯人を処罰してほしい | 告訴 |
| 第三者として犯罪を申告したい | 告発 |
| 名誉毀損・器物損壊など親告罪 | 告訴が必要 |
被害届は、犯罪被害を届け出るための制度であり、受理した警察は検察庁への送致義務は負わないので、そのまま放置される可能性があります。
一方、犯人の処罰を求め、警察に適切な捜査と検察への送致を求めるのであれば、告訴という手続きを検討すべきでしょう。
○警察への告訴状・告発状の作成は元警視庁刑事の行政書士にお任せください。こちら
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました。
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。


