告訴状に記載する名前は印刷?自筆?、印鑑はいる?【元刑事が解説】

 匿名の告訴状は100%不受理となるため、告訴人の名前と年齢は必ず記載する必要があります(令和5年6月23日の警察庁通達により、捜査書類への被害者等の人定事項の記載は「氏名」と「年齢」のみとされました)。では、告訴人の名前は印字でいいのか、自筆の署名なのか、印鑑は必要なのかですが、これには決まりがありません。弁護士が作成してくる告訴状は名前は印刷で、印鑑は押してあることがほとんどです。仮に名前が印刷で印鑑が押してなかったとしても、それをもって「不受理」となることはないと思いますが、決まりがないため、担当者判断になることもあります。担当刑事に「名前は自筆で書いてください」」「印鑑押してください」と言われたら、素直に応じたほうが良いと思います。そこで「法的根拠は何だ?」などと言ってケンカしても、実益はないと思われます。基本的に、警察官は印字された名前を嫌いますので、できれば、最初から自筆の署名+印鑑をおすすめします。少しでも受理可能性を上げるコツです。なお、印鑑は、実印である必要はありませんが、スタンプ印(いわゆるシャチハタ)はダメです。百均で買った印鑑でもいいので、必ず朱肉で押印するタイプの印鑑で押印してください。
余談:なぜスタンプ印がダメなのか?
 「大量生産が明白だからダメ」「印影照合しても全部同じになるからダメ」「実印登録できないからダメ」など警察内でも諸説ありますが、一番の理由は「滲むから」だと思われます。2001年頃に、捜査書類が現行のA4横書きとなる以前は、B5の縦書きでした。その当時の捜査書類は、ボールペンや万年筆による「手書き」が基本の時代で、用紙は表面加工されたろう紙のような紙でした。そして、この紙にスタンプ印で押印すると、時間経過によって滲み、1年くらい経つと全く読み取れないくらいになることがあったのです。そこで「捜査書類にはスタンプ印禁止」となったのが一番の理由だと思います。A4横書きとなり普通紙となった今も、その慣習が続いているのです。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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