法人が被害にあった場合告訴できるのは誰か?【元刑事が解説】
業務上横領、背任、窃盗、建造物侵入、偽計・威力業務妨害、名誉毀損、信用毀損、恐喝、器物損壊など、企業・法人が犯罪被害に遭うケースは決して珍しくありません。
法人も個人(自然人)と同様に「被害者」となるため、
被害届や告訴状を警察に提出することが可能です。
しかし、法人特有の問題として、
「誰が提出者(名義人)になれるのか?」という重要な論点があります。
法人は自ら提出できない|提出者は“自然人”
法人は法律上の存在であり、実際に行動することはできません。
そのため、被害届・告訴状はいずれも人間(自然人)が提出する必要があります。
被害届の提出者|比較的柔軟に認められる
被害届の場合、提出者の要件は比較的緩やかです。
例えば以下のようなケースがあります。
- スーパーで万引き被害 → 店長が提出
- 会社の支店で窃盗被害 → 支店長が提出
つまり、現場責任者レベルでも提出可能とされています。
告訴状の提出者|法人の代表者に限定される
一方で、告訴状になると扱いは厳格です。
判例(大審院・昭和11年7月2日)によれば、
告訴人は法人の代表者でなければならないとされています。
具体例:
- 株式会社 → 代表取締役
- 市役所 → 市長
したがって、
- 平取締役
- 株主(たとえ筆頭株主でも)
これらの者は原則として告訴人になることはできません。
代表取締役が加害者の場合の対応
では、代表取締役自身が業務上横領などを行った場合はどうなるのでしょうか?
この場合、代表者本人が自分を告訴することはできません。
実務上は次の対応が必要になります。
- 現代表取締役を解任または辞任させる
- 新たな代表取締役を選任する
- 新代表者が前代表取締役を告訴する
つまり、告訴権を行使する主体を適法に切り替えることが不可欠です。
まとめ|法人の刑事手続きで押さえるべきポイント
- 法人も被害届・告訴状を提出できる
- ただし提出は自然人が行う必要がある
- 被害届 → 店長・支店長などでもOK
- 告訴状 → 必ず代表者のみ可能
- 代表者が加害者の場合 → 代表者変更が必要
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淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました。
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。


