川でおぼれている人を助けなかったら罪になる?見殺しは犯罪?【元刑事が解説】

Aさんが道を歩いていたところ、見知らぬ人が川でおぼれ、「助けて!」と救助を求めている場面に遭遇したとします。しかしAさんは急いでおり、「知らない人と関わりたくない」と考え、助けることも119番通報をすることもなく、そのまま立ち去りました。その後、おぼれていた人は死亡しました。

この場合、「人を見殺しにしたのだから罪になるのでは?」と思うかもしれません。しかし、原則としてAさんは刑事責任を問われません。

日本の刑法では、単に困っている他人を助けなかったというだけでは、直ちに犯罪になるわけではありません。刑事責任が発生するのは、その人に**法律上の救護義務(助ける義務)**がある場合です。

保護責任者遺棄致死罪とは?

助ける義務がある人が必要な保護をせず、その結果相手を死亡させた場合には、保護責任者遺棄致死罪が成立する可能性があります。

これは、相手を保護・監督すべき立場にある人が、その責任を放棄して重大な結果を招いた場合に適用される犯罪です。

どんな関係なら救護義務がある?

保護責任者として救護義務が認められやすい関係には、次のようなものがあります。

  • 親と子
  • 教師と児童・生徒
  • 医師と患者
  • 介護者と高齢者
  • 雇用主と従業員
  • 事故を起こした加害者と被害者

このような関係では、「助けるべき立場」にあるため、必要な救護をしなければ刑事責任を問われる可能性があります。

赤の他人を助けなかった場合は?

一方で、今回のようにまったく面識のない赤の他人については、通常、法律上の保護責任はありません。

そのため、

  • 助けなかった
  • 119番通報しなかった
  • 見て見ぬふりをした

という行為だけでは、原則として犯罪にはなりません。

「冷たい」と道義的な批判を受けることはあっても、刑法上の処罰対象とは別問題です。

食事を与えずに死なせたら何罪?

例えば、乳児や幼児、寝たきりの高齢者など、自力で生活できない人に対して、保護義務のある者が食事や水を与えず死亡させた場合はどうでしょうか。

このケースでは、単なる放置ではなく、死亡結果を認識しながら放置したと評価されるため、保護責任者遺棄致死罪ではなく不作為による殺人罪が成立する可能性があります。

まとめ

「助けなかったら必ず罪になる」とは限りません。

ポイントは、その人に法律上の救護義務があるかどうかです。

見知らぬ人を助けなかった場合は原則として犯罪になりませんが、親子・医師患者・介護関係など、保護責任がある立場なら重大な刑事責任を負う可能性があります。

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淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
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「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
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