偽造文書を提出して法務局に嘘の登記をさせたら何罪?【元刑事が解説】
「辞任してないのに、辞任書を勝手に作られて、いつの間にか会社の取締役を辞任登記されてしまった。」刑事をやっているとこの相談が年に何回かあります。社内の内紛で、意見の合わない取締役を本人に無断で辞任登記してしまうという事件です。まず、本人の了承を得ずに、他人が本人の署名や印鑑を無断で記載、押印して辞任書を作成すれば「有印私文書偽造罪」になります。そして他の申請文書と一緒にこれを法務局に提出すると、「偽造有印私文書行使罪」になります。通常、両罪はセットで行われるので、「有印私文書偽造、同行使」と表記されます。その後、偽造と知らない登記官が、申請内容に沿って、法務局のコンピュータに取締役辞任という虚偽情報を入力して記録されると「電磁的公正証書原本不実記録罪」が成立します。これと同時に、同登記情報は供用が始まるので、「不実電磁的公正証書原本記録供用罪」も成立します。この両罪は100%セットなので、「電磁的公正証書原本不実記録、同供用罪」と表記されます。
どの罪も5年以下の拘禁刑なので、公訴時効は登記完了日から5年となります。
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。
