元公安志望の私が刑事を目指したきっかけ|警視庁の取調べで見た“刑事の本当の力”
私が警視庁に入庁した1992年は、警察官の採用後教育や訓練制度が大きく見直された年でした。警察学校を卒業後、交番勤務を約1か月経験したのち、「内勤実習」と呼ばれる研修に入りました。
内勤実習とは、警察署の刑事課・生活安全課・交通課などで実際の業務を見習いとして経験する教育制度です。当時、大きく変更されたのが刑事課での実習期間でした。それまでは約2週間程度だったものが、私の代から約2か月へと大幅に延長されたのです。
しかし当時の私は、刑事ではなく公安部志望でした。そのため、正直なところ刑事課の実習にはそれほど強い関心を持っていませんでした。
刑事課実習で見た万引き事件の取調べ
刑事課で実習していたある日、常習の万引き犯が逮捕状による通常逮捕で連行されてきました。
その犯人の手口は巧妙でした。ディスカウントショップでゲーム機を万引きし、近くのコンビニから宅配便で自宅へ発送。その後、自宅近くの別のディスカウントショップで換金するという流れです。
警察としては、宅配便の送り状など客観的証拠をしっかり押さえていました。しかし、取調室に入った犯人は一貫して犯行を否認。証拠が揃っているにもかかわらず、反抗的な態度を崩さず、終始ふてくされた表情を見せていました。
完全否認の被疑者が変わった瞬間
その日から、連日、刑事による取調べが続きました。
留置場から取調室へ出てくるときも、戻るときも、犯人は憎らしいほど険しい表情のままでした。私は「こいつは最後まで認めないのではないか」と思っていました。
しかし、逮捕から1週間ほど経ったある日、取調室の前を通った私は驚きました。
そこにいたのは、これまでの険しい表情の人物とはまるで別人のような被疑者だったのです。
にこやかな表情で、担当刑事と談笑していました。
いわゆる、捜査現場でいう「完全に落ちた」状態でした。
刑事の取調べ技術に衝撃を受けた
私は強い衝撃を受けました。
あれほど完全否認し、鬼のような表情で反抗していた人物が、わずか数日でここまで変わるのか――。
もちろん、取調べとは威圧や感情論で行うものではありません。事実関係を積み重ね、被疑者との信頼関係を構築しながら、真実を引き出していく地道な作業です。
担当していた刑事は、犯人の反抗的な態度に一切感情的になることなく、終始淡々と接していました。その姿を見て、私は「刑事とはこういう仕事なのか」と強く印象づけられました。
私が公安志望から刑事になった理由
当時の私は公安部志望でした。しかし、この出来事をきっかけに考えが変わりました。
「自分も刑事になりたい」
そう思うようになり、その約5年後、私は実際に刑事になりました。
もしあのとき、あの万引き事件の取調べを見ていなければ、私は刑事になっていなかったかもしれません。
刑事を目指すきっかけは、人それぞれです。私にとっては、1人の万引き犯と、1人の優秀な刑事との出会いが、その原点でした。
○警察への告訴状・告発状の作成は元警視庁刑事の行政書士にお任せください。こちら
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました。
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。


