犯行再現で刑事が6回殺された話【元刑事のコラム】

警視庁大井警察署刑事課に勤務していた平成10年(1998年)9月、わずか1か月の間に大井署管内で3件もの殺人事件が発生しました。刑事として長く勤務していても、これほど短期間に殺人事件が連続発生するのは異例のことです。

このうち1件は残念ながら未解決のまま公訴時効を迎えてしまいましたが、残る2件については犯人を検挙することができました。

当初、この2件の殺人事件はまったく別の事件として捜査されていました。しかし、捜査を進めるうちに、2人の被害者が実の兄弟であることが判明。さらに、いくつかの偶然や幸運も重なり、中国人の被疑者3人全員を逮捕することができたのです。
(※事件の詳細は別記事で紹介しています)

刑事の仕事「犯行再現」とは?

一般の方にはあまり知られていませんが、殺人事件などの重大事件では「犯行再現」を行うことがあります。

犯行再現とは、被疑者の供述に基づき、実際にどのように犯行が行われたのかを再現し、写真撮影や報告書作成を行う捜査手法です。裁判資料や捜査記録として重要な意味を持つこともあります。

このときは警察署の道場に犯行現場に似せたセットを作り、刑事が被害者役を担当。犯人役の被疑者が当時の動きを再現しました。

もちろん本物の凶器は使えませんので、段ボールで作った模擬包丁を使用しました。

元刑事の私が「6回殺された」理由

この犯行再現で、私は被害者兄弟の役を担当することになりました。

被疑者は3人、被害者は2人。
つまり、

3人 × 2人 = 合計6回

犯行再現を行うことになります。

結果として、私は6回“殺される”役を務めることになりました。

段ボール製の模擬包丁とはいえ、相手は実際に人を刺し殺した殺人事件の犯人たちです。

その犯人らに馬乗りになられ、首や顔を何度も刺す動作を目の前で再現される――。

刑事として冷静でいるつもりでも、正直、背筋が寒くなりました。

「これは再現だ」と頭では理解していても、実際に人を殺害した相手の殺意を間近で感じるのは、独特の恐怖があります。

刑事の仕事はドラマより生々しい

刑事ドラマでは犯人逮捕の場面が華やかに描かれますが、現実の刑事の仕事は地味で、時に精神的な負担が非常に大きいものです。

犯行再現のような作業も、そのひとつです。

元刑事としてさまざまな事件を経験しましたが、「自分が6回殺される」という体験は、今でも強く記憶に残っています。

○警察への告訴状・告発状の作成は元警視庁刑事の行政書士にお任せください。こちら


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。

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