警察官の移動手段【元刑事が解説】

 警察官の移動手段といえばすぐにイメージされるのが白黒ツートンのパトカーでしょうか。しかし、東京警視庁で警察官の移動手段といえば、なんといっても自転車、通称白チャリです。本署から交番までの移動、事件・事故の通報で現場に臨場する際などに、警察官が乗っていくのはこの白チャリであることがほとんどです。これは、警視庁の警察署は管内が狭いこと、交番にパトカーを置くスペースがないことなどが理由です。警視庁内でも多摩地区は管内が広い署があり、こうした署では125CCのバイクや、ミニパトなどが交番に配置されています。
 地方の県警といえば、管内が広大な署が珍しくなく、自転車はほとんど使われず、バイクやミニパトが主流です。なので、警察学校入校前に自動二輪の免許を取ることが必須となっている県警もあると聞きます(警視庁にはそのような決まりはありません)。北海道警には自転車が1台もないという話も聞いたことがあります。
 刑事など制服を着ない警察官の足は「捜査用車両」です。俗に「覆面パトカー」などと言われますが、警察内では使われない言葉です。捜査用車両は外観からは警察車両とはわからないようになっています。以前はセダンばかりでしたが、現在は日産エクストレイルやセレナなど、SUVやミニバンが増えています。ほとんどが緊急走行指定を受けており、脱着式の赤灯とサイレンが装備されています。
 警視庁の警察署には、必ず1台「署長車」があります。これは名前の通り署長専用車で、「運転担当」の警察官1名が指定されており、署長を官舎から署までの送迎や、関係先への送迎に使われています。あまり大きな声では言えませんが、実はこの車両、「署長車」として配置されているわけではありません。先に記載した「捜査用車両」の中の1台に過ぎません。
 警察署にはこれらの他に、遺体搬送車、広報車(スピーカーが付いていて特殊詐欺注意などの録音を流して走る車両)、大型バス、トラック、交通事故処理車、護送車、白バイなどがあります。
 私が警察学校を卒業して最初に配属された赤坂署では、交番に行くときに電車を利用していました。本署から一番遠い表参道交番は、自転車で行くには少々距離があったため、赤坂見附駅から銀座線に乗り、表参道駅で降りて交番に行くのです。制服警察官が3~4人地下鉄車内にいるのは珍しかったので、周囲の乗客から注目されたものです。料金の関係からと思いますが、現在は制服で電車に乗ることはほぼありません。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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