「刑事とは何か?」を元刑事が解説

1 「広義の刑事」「狭義の刑事」「最狭義の刑事」

 一般的に「刑事」と言えば、背広にコートを着た警察官を想像すると思います。一般の人からすると、制服を着ないで勤務している警察官は全員「刑事」だと思われるかもしれません。しかし、この条件では「広義の刑事」ということになります。警察署を例にすると、制服を着ないで勤務する部署は、「刑事課」「生活安全課」「組織犯罪対策課」「公安係」と4つあります。この中で「生活安全課」と「公安係」は、「刑事」とは仕事の内容が異なりますし、警察内部でも彼らを「刑事」とは言いません。よって、残った「刑事課」と「組織犯罪対策課」が「狭義の刑事」と言えます。
 この二者の関係について説明します。元々、刑事課と組織犯罪対策課は「刑事課」として一つの組織でした。それが警察庁の組織改革によって、2003年に分離されたのです。以後、「刑事課」は日本人による刑法犯罪を中心に捜査、「組織犯罪対策課」は暴力団員や外国人による犯罪や薬物・銃器犯罪を捜査となっています。小規模~中規模の警察署ではこの両者は分かれていないところも珍しくありません。
 「最狭義の刑事」は「刑事課の刑事」ということになります。この場合、組織犯罪対策課員のことは「組対デカ」と呼んだりします。

2.刑事の仕事

 刑事の仕事のメインは「刑法」に規定された犯罪の捜査です。具体的には、殺人、暴行、傷害、窃盗、詐欺、横領、恐喝、贈収賄、性犯罪(盗撮やストーカー除く)、放火、器物損壊、名誉毀損、侮辱、誘拐、監禁、業務妨害などです。また、刑法だけでなく、一部の特別法、公職選挙法、特殊解錠用具、入札談合法なども扱います。そして、刑事と切っても切れない関係にあるのが「変死」です。原則として「病院等で医師に看取られて亡くなった方」以外の死亡者が「変死体」として警察の取り扱いになります。現場調査と死体の検視で事件性を判断し、事件性ありとなれば、司法解剖となって、殺人や死体遺棄等で捜査本部が開設されます。

3.刑事になるには

 当事務所サイト内こちらのページで解説しています。刑事も最初は普通のお巡りさんからスタートします。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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