刑事部の鑑識と交通部の鑑識は別組織です【元警視庁刑事のコラム】
ニュース番組や刑事ドラマで、刷毛を使ってアルミ粉末をパタパタと振りかけ、指紋を浮かび上がらせる「鑑識」のシーンを見たことがある方は多いでしょう。
実は、警察の「鑑識」には大きく分けて刑事部門の鑑識と**交通部門の鑑識(交通鑑識)**があり、同じ“鑑識”という名称でも、所属する組織も仕事内容もまったく異なります。
この記事では、警察の鑑識の仕事内容や、刑事の鑑識と交通鑑識の違いについてわかりやすく解説します。
刑事の鑑識とは?犯罪捜査を支える専門部隊
一般的に「鑑識」と聞いて多くの人がイメージするのが、この刑事部門の鑑識です。
刑事の鑑識係員は、都道府県警察本部の鑑識課や各警察署に所属し、主に刑法犯などの犯罪捜査を担当します。
仕事内容としては、以下のようなものがあります。
- 指紋の顕出・採取
- 足跡の採取
- 遺留品や微物の採取
- 血痕の顕出
- 犯罪現場の写真撮影
- 被疑者の指紋採取
- 被疑者の写真撮影
- DNA資料の採取
- 変死事案の現場対応
- 警察犬の運用管理
犯罪現場に残された証拠を科学的に収集・分析し、事件解決につなげるのが刑事の鑑識の役割です。
刑事の鑑識になるには?
刑事の鑑識係員は、もともと交番勤務などを経験した警察官が配置されます。
以前は「鑑識講習」と「刑事講習」が別々でしたが、現在は制度が統一されています。そのため、一度鑑識になった警察官がその後刑事捜査員になることもあれば、逆に刑事から鑑識へ異動することもあります。
つまり、刑事の鑑識は刑事部門の専門職でありながら、キャリアの中で柔軟な異動がある職種です。
交通鑑識とは?交通事故捜査の専門部隊
一方で、交通鑑識は交通事故やひき逃げ事件の現場を担当する専門部隊です。
重大な死亡事故や悪質なひき逃げ事件のニュースで、道路上に散らばった車の破片を拾い集めたり、事故現場を細かく測定している警察官を見たことがあるかもしれません。それが交通鑑識です。
交通鑑識の主な仕事は以下のとおりです。
- 交通事故現場の実況見分補助
- 車両の破片や部品の採取
- タイヤ痕やブレーキ痕の確認
- 事故現場の写真撮影
- ひき逃げ事件の証拠収集
- 事故原因の分析支援
交通鑑識は、各都道府県警察本部に所属しており、通常は警察署には配置されていません。
重大事故が発生した際に現場へ出動し、警察署の交通課員を専門的に支援します。
交通鑑識になるには?
交通鑑識には、刑事鑑識のような専用講習制度は一般的にありません。
そのため、警察署で交通事故捜査や交通課勤務を経験した警察官が交通鑑識になるケースが多いです。
交通事故の現場経験や事故解析の知識が重視される職種といえるでしょう。
刑事の鑑識と交通鑑識の違い
両者の違いを簡単にまとめると次のとおりです。
| 項目 | 刑事の鑑識 | 交通鑑識 |
|---|---|---|
| 所属 | 刑事部 | 交通部 |
| 配置場所 | 警察本部・警察署 | 警察本部のみ |
| 主な対象 | 犯罪事件 | 交通事故・ひき逃げ |
| 主な業務 | 指紋・DNA・証拠採取 | 事故現場鑑識・破片採取 |
| キャリア | 刑事との異動あり | 交通部門経験者が多い |
まとめ|同じ「鑑識」でも役割はまったく違う
このように、警察の鑑識といっても、刑事の鑑識と交通鑑識では所属組織も仕事内容も大きく異なります。
刑事の鑑識は犯罪捜査を科学的に支える存在、交通鑑識は交通事故捜査を専門的に支える存在です。
もっとも、どちらも元をたどれば交番勤務などを経験した警察官であり、国民の安全を守る警察官であることに変わりはありません。
**「警察の鑑識って何をしているの?」「刑事ドラマの鑑識と交通事故の鑑識は同じ?」**と疑問を持っていた方の参考になれば幸いです。
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淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました。
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。


