自動車営業マンから警察官になったら成功報酬が百分の一になった件【元警視庁刑事のコラム】
警察官になる前、私は自動車メーカーに勤務し、直系ディーラーへ出向して営業をしていました。
営業の世界では、毎月販売目標台数、いわゆる「ノルマ」が設定されており、目標を超えると1台につき5,000円の報奨金が支給されました。達成率が高くなれば報奨金単価もアップします。さらに、年に数回の販売キャンペーンでは、成績上位者にハワイ旅行や国内旅行券が贈られるなど、非常にわかりやすい成果主義の世界でした。
その後、私は警察官へ転職しました。
「警察官にはノルマがあるのか?」という疑問を持つ方も多いと思います。結論からいえば、民間企業の営業職のような明確な販売ノルマはありません。しかし、現場では“目標”として求められる数字が存在するのも事実です。
交番勤務で求められる「職質検挙」とは?
交番勤務になると、上司から繰り返し言われたのが「職質検挙をやれ」という言葉でした。
職質検挙とは、職務質問(職質)によって不審者に声をかけ、犯罪を発見して検挙することです。
交番勤務の警察官にとって、比較的成果を上げやすいのが「自転車盗」の検挙でした。
東京都内では、終電を逃した人が自転車を盗んで帰宅しようとするケースが昔から一定数ありました。そのため、深夜に自転車に乗っている不審者は、職務質問の対象になりやすかったのです。
赤坂警察署では自転車盗犯を捕まえにくかった
ところが、私が警察学校卒業後に配属されたのは、都心の赤坂警察署でした。
住宅街の警察署とは事情が大きく違います。
深夜の赤坂で自転車に乗っている人といえば、帰宅途中の板前さんや飲食店関係者が中心で、そもそも自転車盗の犯人に遭遇する機会が少ない環境でした。
一方、住宅街の警察署に配属された同期からは、
「今日は自転車泥棒を2件検挙した」
という話が普通に聞こえてきます。
同じ新人警察官でも、配属先によって検挙しやすさに大きな差があるのです。
私は何とか結果を出そうと必死になり、赤坂署の管内だけでなく、隣接する渋谷署や原宿署方面まで足を延ばして職務質問を繰り返しました。
しかし、なかなか成果は出ませんでした。
警察学校卒業から8か月、初めての職質検挙
ようやく初めて自転車盗の犯人を職務質問で検挙できたのは、警察学校卒業から8か月後のことでした。
新人警察官だった私にとって、この検挙は本当に大きな出来事でした。
上司や係の先輩方にも非常に喜んでもらい、「やっと結果を出せた」という達成感を強く覚えています。
その後、署長訓授の場で、私は「自転車盗検挙の功」により署長即賞を授与されました。
警察官として初めての表彰です。
期待しながら封筒を開けてみると――
入っていたのは、50円玉1枚。
思わず拍子抜けしましたが、それもまた警察という組織らしい思い出です。
警察官の評価は数字だけではない
民間企業では売上や契約件数が直接報酬に反映されます。
一方、警察官の仕事は単純な数字だけでは測れません。
とはいえ、現場では「職務質問件数」や「検挙実績」が評価の一つになることもあり、新人時代には強いプレッシャーを感じることもあります。
「警察官にノルマはあるのか?」
その答えは、
“ノルマという名前ではないが、現場には確かに数字へのプレッシャーが存在する”
というのが、元警察官としての実感です。
○警察への告訴状・告発状の作成は元警視庁刑事の行政書士にお任せください。こちら
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました。
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。


