「巡査長」という法的には存在しない階級がある理由とは?【元警視庁刑事のコラム】

 

マンガ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の両津巡査長でおなじみの「巡査長」という階級ですが、実は法律上存在しないことをご存知でしょうか?
両津巡査長も制服には「巡査長」の階級章を付けていますが、正式な捜査書類には「司法巡査」と記載しなければなりません。これは、「巡査長」という階級が法律上存在しないためです。


なぜ「巡査長」という階級が生まれたのか?

「巡査長」という不思議な階級が生まれた背景には、こんなエピソードが隠されています。

昭和40年(1965年)頃、ある警察官の娘が警視総監(または警察庁長官)に宛てて、こんな手紙を書きました。

「私のお父さんは長年警察官として働いています。毎日遅くまで一生懸命働き、休みも少ないです。それでも階級は一番下の巡査のままで、お父さんがかわいそうです。どうにかならないでしょうか?」

この手紙を読んだ警視総監は心を打たれ、一定期間巡査として働き、功労があった警察官が無試験で昇格できる「巡査長」という階級を創設しました。しかし、警察法第62条で階級が定められているため、「巡査長」は正式な階級とはならず、現在でも法律上は存在しないのです。

※私が警察学校を卒業した平成4年(1992年)頃に警視庁警察官の間では常識として語られていた話です。ですので、文献やソースを出すことはできません。何か情報があれば連絡ください。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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