証拠品のパソコンをうっかり壊したら自費弁済だった話【元刑事のコラム】
2010年代、私がある警察署で知能犯捜査係長を務めていた頃の話です。特殊詐欺事件でいわゆる**「受け子」**を逮捕し、被疑者の自宅を家宅捜索(ガサ)して、ノートパソコン1台を押収しました。
それ以前、私は生活経済課に所属しており、悪徳商法や詐欺まがいの企業を摘発する捜査を担当していました。その部署では、一度の捜索で数十台ものパソコンを押収することも珍しくありませんでした。
当時のやり方は、押収したパソコン本体ではなく、内部のハードディスクだけを取り外して解析部署に回すという方法でした。その経験が身についていた私は、今回押収したノートパソコンも同じように処理しようと考えました。
ところが、このパソコンは海外メーカー製で、ユーザーが簡単に分解できない特殊な構造になっていました。ネジを外し、慎重に開けようとしたものの、最後は力を入れてしまい――
「パキッ」
見事にケースを破損させてしまったのです。
警察の捜査手法は部署によって違う
慌てて上司に報告すると、返ってきたのは意外な言葉でした。
「なんで自分で開けたの? そのまま本部に持ち込めば開けてもらえたのに」
実は、私が生活経済課にいた間に、刑事部では証拠品の解析手順が変わっていたのです。
警察組織では、同じ「捜査」でも部署によって手法や運用が異なることがあります。現場経験が長くても、部署が変われば常識が通用しないこともある――そんな典型例でした。
壊した証拠品の修理代はどうなるのか?
問題はここからでした。
上司があちこちに確認してくれましたが、返ってきた回答は驚くべきものでした。
「壊れた証拠品の修理費に使える予算はない」
さらに、
「所有者が裁判所に損害賠償請求を起こし、勝訴すれば、その判決を根拠に予算執行できる」
という説明でした。
しかし、相手は逮捕され留置場にいる被疑者です。
『こちらでパソコンを壊してしまったので、裁判で訴えてください』
などと頼めるはずがありません。
最終的に4万5000円を自腹で支払った
結局、私は自分でそのパソコンメーカーの修理窓口に連絡し、修理を依頼しました。
必要だったのはケース交換。
修理費は4万5000円。
最終的に、その全額を自腹で支払うことになりました。
元刑事としてさまざまな事件を経験してきましたが、この出来事は今でも忘れられません。
○警察への告訴状・告発状の作成は元警視庁刑事の行政書士にお任せください。こちら
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました。
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。


