昔、郵便局に特別司法警察職員がいた話【元刑事が解説】
現在ではほとんど知られていませんが、かつて郵政省(後の日本郵政公社)には**「郵政監察官」**という特別司法警察職員が存在していました。
特別司法警察職員と聞いてもピンと来ないかもしれませんが、過去の鉄道公安官(旧国鉄)や、現在も活動している麻薬取締官と同じように、特定分野の犯罪捜査権を持つ公務員です。
この郵政監察官の主な仕事は、郵便局に関係する犯罪捜査でした。具体的には、
- 郵便物の窃盗事件
- 郵便局員による郵便物の盗難
- 切手や小為替の偽造事件
- 郵便関連の横領・内部不正
などの捜査を担当していたとされています。
郵便局の内部犯行|現金入り郵便物の盗難は実際にあった
1995年、私が巡査部長昇任試験に合格し、関東管区警察学校へ入校した際、偶然2名の郵政監察官と一緒になりました。
彼らから聞いた話で特に印象に残っているのが、郵便局内部での現金盗難事件です。
本来、現金を郵送する場合は現金書留を利用するのがルールです。しかし、送料が高いことから、普通郵便で現金を送ってしまう利用者が少なくなかったそうです。
そこを狙い、一部の郵便局員が封筒から現金を抜き取るという内部犯行が発生していたとのことでした。
普通郵便の場合、
- 差し出した証拠が残りにくい
- 配達記録がない
- 補償制度がない
という特徴があるため、利用者が「現金を入れた手紙が届かない」と訴えても、証明が難しく、泣き寝入りになるケースもあったようです。
まさに、証拠が残りにくい仕組みを悪用した犯罪でした。
郵政監察官はどんな人たちだったのか
「特別司法警察職員」と聞くと、警察官のような屈強な捜査員を想像するかもしれません。
しかし、実際に会った郵政監察官の印象はまったく違いました。
当時、警察学校の学生は30代の警察官が中心でしたが、その2人はどちらも50歳前後。小柄で、見た目はごく普通の公務員という印象でした。
それも当然で、郵政監察官は最初から捜査官として採用されるわけではなく、もともとは郵政省の一般職員です。その後の人事異動などで郵政監察官になるケースがあったようです。
警察官であれば制服がありますが、郵政監察官には専用制服がなく、2人だけスーツ姿だったため、警察学校ではかなり異質な存在に見えました。
警察学校での柔道・逮捕術訓練は過酷だった
特に気の毒だったのが、柔道や逮捕術の訓練です。
おそらく人生で初めて柔道着を着たであろう彼らが、いきなり受け身や組み手の訓練を受ける姿はかなり大変そうでした。
さらに、盾を持っての駆け足訓練まであったと記憶しています。
普段デスクワーク中心だったであろう50代の公務員にとっては、相当厳しい研修だったはずです。
郵政監察官はなぜ廃止されたのか
その後、時代の流れとともに郵政監察官制度は廃止されました。
背景には郵政民営化があります。
これは、旧国鉄の民営化によって鉄道公安官制度が廃止された流れと似ています。
鉄道公安官の一部は、その後、全国の警察組織で警察官として再就職しましたが、郵政監察官については、一般社員として日本郵政グループへ移行したケースが多かったようです。
まとめ|郵政監察官は郵便犯罪を捜査していた特別な存在
現在ではあまり知られていない郵政監察官ですが、かつては郵便局の内部不正や郵便物盗難を捜査する特別司法警察職員として活動していました。
一般の利用者からは見えない存在でしたが、郵便サービスの信頼を守る重要な役割を担っていたのです。
○警察への告訴状・告発状の作成は元警視庁刑事の行政書士にお任せください。こちら
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました。
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。


