天下のザル法「公職選挙法」のお話【元刑事が解説】
「公職選挙法はザル法だ」と言われることがあります。政治資金規正法と並んで、抜け道が多く、実際には取り締まりが難しい法律として批判されることも少なくありません。
「ザル法」とは、ザルで水をすくってもこぼれ落ちてしまうように、法律として規制の網目が粗く、違反を取り締まりにくい状態を指す俗称です。
もちろん、公職選挙法には選挙の公平性を守るためのルールが細かく定められています。しかし、現場で運用を見ていると、「これは本当に規制として機能しているのか?」と感じる場面が少なくありませんでした。
今回は、元警察官として32年間勤務した経験から、公職選挙法の“抜け道”とも言われる実態をわかりやすく解説します。
政治活動と選挙運動の違いが公職選挙法を分かりにくくしている
公職選挙法を理解する上で重要なのが、「政治活動」と「選挙運動」の違いです。
選挙運動とは
特定の選挙で、特定の候補者に当選してもらうことを目的とした活動です。
例えば、
- 「○○選挙で私に投票してください」
- 「○○候補をよろしくお願いします」
といった直接的な投票依頼は、典型的な選挙運動です。
この選挙運動は、原則として選挙の告示日(または公示日)以降でなければできません。
政治活動とは
一方の政治活動は、政治的な主張や理念を広める活動です。
例えば、
- 政策の説明
- 自分の政治信条の発信
- プロフィール紹介
- 街頭演説
- ビラ配布
などが該当します。
政治活動は、基本的に年間を通じて行うことができます。
告示日前でも街頭演説できる?公職選挙法の抜け道と言われる理由
ここが公職選挙法の分かりにくいところです。
立候補予定者が告示日前に駅前で演説し、
- 自分の顔写真を掲げる
- 政策を語る
- 経歴を紹介する
- 支援を訴える雰囲気を出す
こうした行為は、内容によっては「政治活動」として認められます。
しかし、
「○月○日の選挙で私に1票をお願いします」
と明確に投票依頼すると、公職選挙法違反となる可能性があります。
つまり、「投票依頼」という一線を越えるかどうかで合法・違法が分かれるため、外から見ると非常に分かりにくく、「実質的に事前選挙運動では?」と感じる人が多いのです。
街宣車は1台まで?実は政治活動なら別ルール
公職選挙法では、選挙運動用の自動車には制限があります。
しかし、政治活動用の車両は別扱いです。
そのため、
- 選挙運動車両とは別に
- 政治活動用車両を使用して
- 継続的に街宣活動を行う
という運用が現実には可能です。
この仕組みも、「抜け道ではないか」と言われる理由の一つです。
午後8時以降の選挙活動は本当に禁止?
よく誤解されるのが、選挙活動の時間制限です。
公職選挙法では、拡声機を使用した選挙運動には時間制限があり、一般的に午後8時までとされています。
しかし、駅前などで候補者本人が拡声機を使わずに有権者へ話しかける行為まで一律に禁止されているわけではありません。
このため、
「夜8時を過ぎても活動しているように見える」
という状況が起こります。
元警察官が語る公職選挙法違反の取り締まり実態
私は32年間の警察勤務の中で、公職選挙法に関する現場対応を何度も経験しました。
違反の疑いがあるケースで注意や警告を行ったことはあります。
しかし、実際に公職選挙法違反で検挙した経験は一度もありません。
理由は単純で、
違法ラインの判断が非常に難しいからです。
政治活動なのか、選挙運動なのか。
適法な表現なのか、違法な事前運動なのか。
その境界線が極めて曖昧なケースが多く、現場では慎重な判断が求められます。
まとめ|公職選挙法が“ザル法”と言われる理由
公職選挙法が「ザル法」と言われる背景には、
- 政治活動と選挙運動の線引きが曖昧
- 告示日前でも一定の活動が可能
- 政治活動用車両が使える
- 時間制限にも例外的な運用がある
- 実際の摘発ハードルが高い
といった事情があります。
法律としての建前と、現場での運用実態にギャップがあるため、多くの人が「抜け道が多い」と感じるのでしょう。
○警察への告訴状・告発状の作成は元警視庁刑事の行政書士にお任せください。こちら
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました。
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
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「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
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「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
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