告訴事実の書き方29(殺人罪)【元刑事が解説】
殺人罪の告訴事実に関しては、厳しい罰則が科せられます。罰則としては、死刑、無期懲役、または5年以上の懲役が含まれます。さらに、未遂や予備も処罰対象となります。
また、過失によって死亡させた場合は、刑法第210条に基づく過失致死罪として処罰されます。この場合、罰金は最高50万円であり、殺人罪に比べてかなり軽い罰則となっています。
2010年の刑法改正により、殺人事件の公訴時効が撤廃されました。これにより、2010年以降の殺人事件については、公訴時効が存在せず、永遠に逮捕、送致、起訴が可能となりました。
その後、警察内部で「殺人事件の証拠品を永遠に保管する必要があるのか」という議論が起きましたが、80年保管という結論に達しました。この期間は、「80年経てば犯人は生きていないだろう」という理由によるものです(警視庁の方針であり、他の都道府県警の方針は異なる可能性があります)。
包丁を使った殺人事件の告訴事実記載例です。
告訴事実
刑法第199条 殺人
被告訴人は、東京都品川区大井4丁目3番4号大井荘4号室に単身居住していたところ、顔見知りであった山田五郎(当時23歳)が同室に居座って同居するようになったが、家賃や光熱費を一切払わない上、被告訴人に対して命令口調で話すようになったことから憤怒の念を抱き、同人を殺害しようと決意し、令和6年5月7日午後8時0分頃、同室内において、被告訴人所有の刃体の長さ約19センチメートルの出刃包丁1丁を寝ていた前記山田の頸部及び胸部に合計10回にわたり突き刺すなどし、よって、その頃、同所において、同人を心臓等刺創に基づく失血により死亡させて殺害したものである。
ナイフを準備しての殺人予備
告訴事実
刑法第201条
被告訴人は、令和5年10月まで、告訴人(当時28歳)と交際していた者であるが、その頃、告訴人が別れを告げて連絡が取れなくなったことを恨み、告訴人を殺害しようと決意し、令和6年2月5日午後8時40分ころ、東京都杉並区杉並本町2丁目3番5号セブンイレブン○○店前路上において、告訴人を刺し殺す目的で、サバイバルナイフ1本を所持して、告訴人の帰宅を待ち伏せ、もって、殺人の予備をしたものである。
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淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。
