告訴相談すると必ず「相談簿」が作成される|警察内部の審査の流れを元刑事が解説

警察に告訴や告発の相談をすると、担当刑事は必ず相談内容を警察内部の「相談受理システム」に入力し、「相談簿」と呼ばれる記録を作成します(※システム名や帳票名は都道府県警察によって異なる場合があります)。

この相談簿は単なるメモではなく、警察が事件として取り扱うかどうかを判断するための重要な内部文書です。一般的には、次のような内容が詳細に記録されます。

  • 事件の概要
  • 告訴人・被告訴人の氏名、住所、職業などの人定事項
  • 提出された資料や証拠の内容
  • 今後の捜査方針や処理予定
  • 受理・不受理に関する判断経過

「事件性なし」と判断された場合は相談終了となる

初回相談の結果、警察が**「事件性が認められない」**と判断した場合は、その理由が相談簿に記載され、「結了(終了)」として決裁されます。

この場合は、捜査が開始されることなく相談が終了し、告訴状の受理にも進まないのが通常です。

そのため、最初の相談段階で事件性や犯罪の成立を十分に説明できるかどうかが、その後の流れを左右する重要なポイントになります。

継続審査となった場合の流れ

一方、相談内容に捜査の必要性があると判断された場合は、相談簿の「経過欄」に今後の調査方針が記載されます。

例えば、

「被告訴人名義の銀行口座を照会し、事件性の有無を確認する」

といった具体的な捜査方針が記載され、上司による決裁を受けながら調査が進められます。

この段階では、証拠の収集や関係者への確認などを行い、その結果を踏まえて告訴状を受理するかどうかが判断されます。

警視庁における決裁の流れ(例)

警視庁の警察署で、巡査部長以下の警察官が相談を受けた場合は、一般的に次のような順序で決裁が行われます。

  1. 係長(警部補)
  2. 刑事課長代理(警部)
  3. 刑事課長(警部または警視)
  4. 副署長(警視)
  5. 署長(警視または警視正)

※都道府県警察や警察署の規模によって決裁ルートが異なる場合があります。

担当刑事の判断が変更されることもある

告訴相談では、担当刑事の判断がそのまま最終決定になるわけではありません。

例えば、担当者が「受理は難しい」と考えていても、上司から

「もう少し調査してから判断しよう」

という指示が出され、継続調査へ変更されることがあります。

逆に、受理する方向で進んでいた案件でも、

「証拠が不足しているため、関係機関への照会結果を確認してから判断すべきだ」

と指示され、受理が保留になるケースも少なくありません。

つまり、告訴の受理・不受理は複数の警察官が慎重に検討した上で決定されるのです。

告訴の受理・不受理は署長決裁で最終決定される

告訴事件の受理・不受理は、担当警察官だけの判断で決まるものではありません。

相談簿は複数の上司による確認・承認を経て、最終的に署長の決裁を受けることで正式な判断となります。

そのため、「相談簿が結了となり、告訴を受理しない」と決裁された場合は、その警察署としての正式な結論になります。

この段階になってから担当刑事へ抗議したり、「もう一度考えてください」と求めたりしても、判断が覆る可能性は極めて低いのが実情です。

告訴を受理してもらうためには事前準備が重要

警察では、相談時の内容を基に相談簿を作成し、複数の幹部が事件性や証拠を審査しています。そのため、最初の相談内容や提出資料の質が、告訴受理の可否に大きく影響します。

「犯罪事実が分かりやすく整理されているか」「証拠が十分に揃っているか」「法律上の犯罪が成立することを具体的に説明できるか」といった点を事前に準備しておくことで、継続審査や告訴受理につながる可能性が高まります。

元刑事の経験から言えば、告訴が受理される案件の多くは、相談の段階で既に資料が整理され、事件の全体像が明確になっています。 受理されるかどうかは、警察へ相談する前の準備で大きく差が生じるといえるでしょう。

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淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました。
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。

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