「刑事告訴」と「民事告訴」は法律用語として正しくありません

「刑事告訴」や「民事告訴」という言葉をニュースやインターネットの記事で見かけることがあります。しかし、これらは法律上の正式な用語ではありません。

特に「民事告訴」という言葉は法律上存在せず、誤った表現です。

告訴とは何か

告訴とは、犯罪の被害者や一定の関係者(告訴権者)が、捜査機関に対して犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示をすることです。

告訴は、刑事訴訟法第230条から第245条に規定されている刑事手続きであり、民事裁判とは全く別の制度です。

そのため、法律上は単に「告訴」というのが正しい表現であり、「刑事告訴」と書かなくても意味は十分に通じます。

一方、「民事告訴」という制度は存在しません。民事上の権利を主張する場合は、「民事訴訟」や「損害賠償請求」を行うことになります。

「刑事告訴」という表現は間違いなのか

「刑事告訴」は法律用語としては正確ではありませんが、「民事訴訟」と区別するために、新聞やテレビ、インターネット記事などで慣用的に使用されることがあります。

したがって、一般向けの表現として使われることはありますが、法律実務では通常「告訴」と表記します。したがって、告訴状を作成する際、タイトルは「告訴状」とすべきであり「刑事告訴状」とするのは誤りです。

告訴と告発の違い

告訴と混同されやすい言葉に告発があります。

告発も刑事訴訟法に規定された刑事手続きですが、大きな違いは誰が行えるかです。

  • 告訴:被害者や一定の親族など、法律で定められた告訴権者のみが行えます。
  • 告発:犯罪を知った人であれば、原則として誰でも行うことができます。

なお、「内部告発」という言葉は一般的によく使われていますが、これは公益通報や不正の情報提供を指すことが多く、刑事訴訟法上の「告発」とは同じ意味ではありません。

元刑事として感じた告発制度の課題

私が警視庁で刑事として勤務していた頃、新聞記事や週刊誌の記事をコピーしただけの「告発状」が警察に持ち込まれるケースが何度もありました。

告発は誰でも行える制度であるため、十分な事実確認や証拠がないまま提出されることも少なくありません。その対応には多くの時間と労力を要することがあり、制度運用上の課題の一つだと感じていました。

もちろん、社会的に重大な犯罪の発見につながる重要な告発も数多く存在するため、制度自体は必要不可欠です。しかし、告発制度を適切に機能させるためには、十分な事実関係や証拠を整理した上で行うことが望ましいと考えます。

まとめ

  • 告訴は刑事訴訟法に基づく刑事手続きであり、「刑事告訴」という表現は法律上は正式な用語ではありません。
  • 民事告訴という制度は存在せず、法律用語としては誤りです。
  • 民事上の請求は民事訴訟や損害賠償請求によって行います。
  • 告発も刑事訴訟法上の制度ですが、告訴とは提出する人の立場に違いがあります。
  • 「内部告発」は一般用語であり、刑事訴訟法上の告発とは同じ意味ではありません。

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淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました。
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。

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