元刑事である私は、自分が刑事だったら受理しないと思う告訴状・告発状は作成しません。


行政書士が作成した告訴状が不受理に

先日、ある行政書士が作成した告訴状を拝見する機会がありました。しかしその告訴状は、結果的に**警察に受理されない(不受理)**という残念な結果に。内容を読んだところ、「これでは刑事は受け取らないだろう」と強く感じました。

元刑事としての経験から見ても、やはり受理には値しない内容だったのです。


告訴状が受理されない典型的なパターン

その告訴状がなぜ受理されなかったのか。その理由は明白です。

  1. 刑事的観点が欠けている
     捜査官の視点がないため、告訴状としての体裁や要点がズレていました。告訴状には形式的な決まりはないものの、長年の慣習や実務的スタイルがあります。
  2. 不要な記載が多すぎる
     保護法益や違法性、有責性などを長々と記載しており、警察側が読み進める意欲を失ってしまいます。告訴事実は、証拠に基づいてシンプルに記載すべきです。
  3. 告訴内容がそもそも犯罪に該当しない
     最も重要なのはここです。法律上、犯罪とならない事実を記載した告訴状は、いくら丁寧に作っても受理されることはありません。

警察が受理しない告訴状とは?

当事務所では、告訴状作成のご依頼をいただいた際、必ず以下の視点から検討します。

「自分が現役刑事だったら、この告訴を受理するか?」

この視点は非常に重要で、行政書士としての視点だけでなく、実際の警察実務に基づく判断を行うことで、無駄な手間や費用をお客様に負わせないように努めています。


告訴状作成をお断りするケースもあります

行政書士法第11条では、「正当な理由がない限り依頼を拒んではならない」と定められています。しかし、明らかに警察が受理しないと判断される案件については、「正当な理由」に該当すると考えています。

そのため、私はご依頼者様に理由を丁寧にご説明し、場合によっては告訴状の作成自体をお断りすることもあります


元刑事だからこそできるリアルなアドバイス

ご相談者の中には、「これは犯罪だからどうしても告訴したい」と強くおっしゃる方もいます。そのようなときは、なぜ事件として扱われないのか、なぜ警察は受理しないのかを丁寧にご説明します。

そのプロセスは、まさに現役時代の取り調べや事情聴取と同じような感覚であり、改めて刑事経験が役に立っていると感じる瞬間です。


【まとめ】告訴状の作成は、警察実務に精通した専門家へ

告訴状が警察に受理されるかどうかは、作成者の法的知識と実務経験に大きく左右されます。元刑事としての視点を持つ当事務所では、警察が実際に動くかどうかを見極めたうえで、告訴状作成の可否を判断しています。

「確実に警察に動いてもらえる告訴状を作成したい」とお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。

 先日、刑事(警察官)経験の無い行政書士の先生が作成した告訴状を目にする機会がありました。結果として不受理となったものですが、読んでみて、正直、「これじゃ、刑事は受けませんよね。」と思いました。少なくとも、私が現役刑事であれば、やはり受理しなかったのは間違いないところです。
 どんなところがダメかと言いますと、やはり、捜査員として経験がないためか、告訴状としての体裁ができていません。告訴状に定まった様式はないとはいえ、長年、弁護士先生を中心に積み上げられてきた慣習的なスタイルがあります。告訴事実は、証拠に基づいてシンプルに記載し、無駄な記載は極力避けます。保護法益、違法性、有責性など、刑事なら読まなくてもわかるような記載がだらだら羅列されていると、それだけで読むのが嫌になってしまいます。
 また、そもそもですが、告訴事実自体が犯罪とならないことが明白であり、その判断がつかないまま、依頼人の話だけを聞いて受理・作成しただろうことも一目でわかりました。判例や裁判例も調べないまま、依頼人の要望だけ聞いて、お金をもらい、絶対に受理されないであろう告訴状を作成するのはいかがなものかと。
 当事務所では、「自分がもし現役刑事だったらこの告訴(告発)を受理するだろうか?」を基準にして、お客様のご依頼を受けるべきかどうかを判断しています。行政書士法第11条には、「行政書士は、正当な理由がある場合でなければ、依頼を拒むことができない。」とありますが、警察が受理しないとわかっている告訴状作成を拒むことは、この「正当な理由」に該当すると考えます。よって、私は、自分の刑事経験から「警察が絶対受理しないまたは受理される可能性が低い」と判断される事件の依頼は、お客様にその理由を説明してお断りしています。お客様の中には、私の説得をなかなか理解してもらえず、「いや、これは犯罪で事件だからどうしても告訴したい」とおっしゃる方も少なくありません。そうしたときは、なぜ、事件にならないのか、なぜ、警察は受理しないと思われるのかを必死になってお話しします。すると、なんだか「自分、刑事の現役時代と同じことをやっているなあ」と思うことがしばしばあります。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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