警察官から告訴状の訂正や追加資料を求められたら【元刑事が解説】
告訴状を警察に提出しても、その場ですぐに受理されることはほとんどありません。通常、警察はコピーを取り、原本を返却したうえで「検討させていただきます。結果は後日ご連絡します」と言うはずです。場合によっては、コピーに「参考資料として提出」と記載を求められることもあります。その後、担当刑事は告訴状をよく読んだ後、受理するか、不受理とするか、それとも一部捜査を開始して受理・不受理の判断材料を入手するかを判断し、署長までの決裁を受けます。
1. 受理の可能性がある場合
数日~数週間後、警察から「説明がありますので再度警察署にお越しください」と連絡があれば、受理の見込みがあります。一方で、「○○○○のため、この告訴は受理できません」と伝えられた場合は、不受理が確定します。ただし、警察は「不受理」という言葉を避け、「受けられない」「無理です」といった表現を使うことが一般的です。
2. 訂正や追加資料の提出を求められた場合
警察署に呼ばれた際には、以下の対応が求められることがあります。
- 警察側の疑問点に対する説明
- 追加資料の提出
- 告訴状や添付資料の加除訂正
このような修正や追加が求められた場合、基本的には告訴が受理される流れとなります。なぜなら、警察が訂正を指示した後で不受理にすれば、告訴人は無駄な手続をさせられたと怒ることでしょう。したがって、訂正や追加資料を求められた場合、指示通りに手続をしてください。その後受理されるはずです。
ただし、既にシュレッダーしてしまった契約書など、再入手が不可能は追加資料を求められ、「契約書があれば受理しますよ」などと言われた場合、これは刑事が「どうせ契約書は再入手できないだろうから、これを受理の条件にすれば告訴をあきらめるだろう」という趣旨ですから、その契約書が手に入らなければ受理は難しいでしょう。
ポイント:
- 犯行回数や被害額が減らされることがあっても、警察の指示に従う方が受理されやすい
- 追加資料の提出や訂正の依頼があれば、前向きに対応する
まとめ
告訴状の提出後、警察からの指示があった場合は、適切に対応することでスムーズに受理される可能性が高くなります。警察官の指示には柔軟に対応し、適切な修正や追加資料の提出を行いましょう。
告訴手続きの詳細や対策についてさらに知りたい方は、専門家への相談をおすすめします。
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。
