警察官の取調べに訓練はない?【元刑事が解説】
私は警察官になる前、4年間、自動車ディーラーで営業職をしていました。入社したばかりの頃は、先輩社員が客役となり、「ロールプレイング」による商談訓練を何度も行ったものです。
その経験があったため、警察官になった後も、刑事の取調べについて同じようなロールプレイング訓練があるのだろうと思っていました。しかし実際には、警察学校や刑事講習で、実践的な取調べのロールプレイングを受けた記憶はほとんどありません。
刑事はどうやって取調べを覚えるのか?
では、刑事はどのようにして取調べの技術を身につけるのでしょうか。
結論から言えば、先輩刑事や上司の取調べを実際に見て学ぶのが基本です。
もちろん、警察学校や講習で座学による指導教養はあります。しかし、
- 否認している被疑者にどう対応するのか
- 黙秘する被疑者にどう向き合うのか
- 証拠をどのタイミングで提示するのか
- 供述調書をどの順番で作成するのか
といった、実際の捜査で重要となるノウハウは、現場で経験しながら覚えていく部分が非常に大きいのです。
これは、料理人や大工のような職人の世界に近いかもしれません。**「技術は教わるものではなく、見て盗んで身につける」**という文化が、少なくとも私の時代には確かにありました。
取調べに正解はない|刑事ごとにスタイルが違う
ただし、先輩刑事のやり方をそのまま真似すれば上手くいくわけではありません。
警察官も刑事も一人ひとり性格が違います。威圧感のあるタイプもいれば、柔らかい雰囲気のタイプもいます。
自分とまったくタイプの違う先輩の取調べ方法をそのままコピーしても、うまく機能しないことが多いのです。
そのため、多くの刑事はトライ&エラーを繰り返しながら、自分なりの取調べスタイルを作り上げていきます。
私が選んだ「理詰め」の取調べスタイル
私自身は、いわゆる強面タイプではありませんでしたし、体格が良いわけでもありませんでした。
そのため、無言の圧力で被疑者を追い込むようなスタイルは、自分には向いていないと早い段階で感じていました。
そこで選んだのが、
冷静に、淡々と、理詰めで事実を積み上げていく取調べ
というスタイルです。
初めは否認していた被疑者でも、証拠を一度に全部見せるのではなく、状況に応じて少しずつ提示していくと、徐々に表情が変わっていくことがあります。
最初は平然としていても、やがて視線が泳ぎ、沈黙が増え、最後には事実を認める——そんな場面を何度も見てきました。
忘れられない偽医者詐欺事件の取調べ
特に印象に残っているのが、偽医者による詐欺事件です。
その被疑者は、取調べの間ずっと、のらりくらりとかわし続けていました。質問しても核心には触れず、こちらの追及を巧みにかわしていました。
しかし、積み上げた証拠を順に示し、逃げ道がなくなった最後の瞬間、ついに崩れました。
そのときの表情は、今でも忘れられません。
半分泣きながら、半分苦笑いを浮かべた複雑な表情。
10年以上経った今でも、鮮明に記憶に残っています。
まとめ|刑事の取調べは経験で磨かれる
刑事の取調べ技術は、マニュアルだけで身につくものではありません。
現場で先輩の技術を見て学び、自分で試し、失敗し、改善しながら少しずつ磨かれていくものです。
取調べには決まった正解はなく、刑事それぞれが自分に合ったスタイルを作っていく。
それが、私が32年間の警察人生で実感したリアルです。
○警察への告訴状・告発状の作成は元警視庁刑事の行政書士にお任せください。こちら
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました。
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。


