墓地とお墓の現在

 高齢化、少子化により、ここ十数年でお墓を取り巻く事情は過去にないくらい大きく変化しています。昔のように、お寺さんの檀家となって家族代々のお墓を建てる人は大幅に減少しました。代わって増えてきているのが、霊園墓地、樹木葬、散骨などです。またお墓そのものも代わってきており、昔ながらの縦長の和型はどんどん減り、小さくて低い洋型が現在の主流です。これは、東日本大震災をはじめ、強い地震があったときに和型は倒れやすく、また値段も洋型に対して高いことが挙げられます。
 先祖の墓が遠方にあったり、継承者がいないなどの理由で、墓じまいする人も増えています。墓じまいするには、管理者の承諾が必要です。お寺であれば住職さんになります。ただし、最近はお寺の檀家さんが減る一方で、一人でお寺を3つも4つも掛け持ちしている住職さんが珍しくありません。それでも収入的には厳しいようであり、墓じまいする際には高額な離断料を請求する住職さんもいらっしゃいます。あるお寺では1500万円の離断料を請求したところもあるそうです。離断料については、法的な決まりはなく、あくまでも檀家とお寺との話し合いになります。どうしても高額な離断料を請求して譲らず、墓じまいに必要な書類への記載を拒まれる場合は、弁護士に仲裁を依頼するか、お墓からお骨の一部を抜く(分骨といいます)かの二択を選ぶことになります。分骨した場合は、抜いたお骨を新しいお墓に入れ、これまでのお墓は事実上放棄して、無縁仏にしてしまう方法です。
 最近はやりの樹木葬ですが、場所によってシステム、料金、利用年数、宗教宗派別規定などが全く異なりますので、選定と契約に当たって十分な検討が必要です。基本料金が安くても、刻印代、埋葬料、年間管理費などが高額であれば、結果として多額の出費になるところもあります。逆に最初にある程度のお金を払えば、その後10年や20年は一切支払いが要らないところもあります。永代供養は今や常識になりつつありますが、10年といった期限つきのものもあり、期間経過後は合祀されるところもあります。
 散骨については、実は法律が全くといっていいほど整備されていません。よって、「違法ではないからやっている」のが現状であり、決して「合法」というわけでもない状況です。特に海洋散骨については、漁業関係者が健康や風評被害について大きな懸念をもっており、湾や近海ではできず、外洋まで出て撒いているのが現状です。個人で、これらの場所や川や湖などに散骨してはいけません。また、他人の所有である山や谷などへの散骨もしてはいけません。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

Profile Picture