告訴権者
告訴する権利を持つ人を告訴権者といいます。告訴することができるのは、「犯罪により害を被った者」です。具体例を挙げますと「盗まれた物の所有者」「横領された物の所有者」「金品を騙し取られた者」「殴られた者」「脅された者」「壊された物の所有者」「名誉を毀損され者」などになります。あくまでも本人になりますので、「名誉を毀損された妻」の夫は、妻が死亡しない限り告訴権者にはなりません。器物損壊罪で問題となるのが、壊された物の所有者だけが告訴権者で、壊された物の利用者は告訴権者になれないのかという点です。具体的に言うなら、賃貸マンションの窓ガラスが割られた場合、オーナーだけが告訴権者なのか、賃貸居住人はなれないのかということです。これについては、「昭和45年判決」により、器物損壊罪の告訴権は所有者以外にも認められるとしてそれまでの判例を覆しました。従って前記の窓ガラスを割られた賃貸居住者、レンタカーを壊された運転手にも告訴権があります。ただし、実務上は、後に争いが生じないように、これらの者から告訴状を受理したとしても、可能であれば所有者からも告訴状の提出を受けています。
告訴権者の年齢については、はっきりした決まりはありませんが、概ね13歳以上であれば有効とする裁判例が多くあります。小学生以下であれば、両親どちらかが告訴することになります。
被害者が告訴できない場合、法定代理人が告訴権者になり、独立して告訴することができます。法定代理人とは、未成年者の両親、養親、未成年後見人、成年後見人です。認知者、継父母は告訴権者にはなれません。告訴権は、犯罪発生時に存在する必要はなく、告訴時に存在する必要があります。被害者の法定代理人が被疑者である場合は、他の親族が告訴権者になります。こうした親族もいない場合は、検察官が告訴人を指定することになります。
皇族に対する名誉に関する罪の告訴権者は内閣総理大臣となります。
淺利 大輔
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。