法律用語の違いを元刑事が徹底解説!混同しやすい言葉とその意味

刑事手続や法律用語には、同音異義語や紛らわしい用語が数多く存在します。特に、刑法の改正により「器物毀棄罪→器物損壊罪」「誣告罪→虚偽告訴罪」などのように罪名が変更された事例もあります。本記事では、よく混同される法律用語の違いを詳しく解説します。

1. 勾留と拘留の違い

勾留(こうりゅう)とは?

逮捕後、被疑者の身柄を継続して拘束することを指します。逮捕後48時間の「逮捕勾留」、その後裁判官が認めた場合に続く最大20日間の「勾留」、起訴後の「起訴勾留」などが含まれます。判決が確定するまでの段階で使用される用語です。

拘留(こうりゅう)とは?

懲役・禁固と並ぶ刑罰の一種で、1日以上30日未満の期間、刑事施設に身柄を拘束される刑罰です。刑罰の中では最も軽いものですが、前科がつきます。

2. 科料と過料の違い

科料(かりょう)とは?

罰金と同じく刑事罰の一種で、1,000円以上1万円未満の罰金が課せられます。確定すると前科がつきます。混同を防ぐため「とがりょう」と呼ばれることもあります。

過料(かりょう)とは?

行政罰の一種で、金額の定めはなく、前科もつきません。例えば、路上喫煙禁止条例違反で課される罰金がこれに該当します。区別のため「あやまちりょう」とも呼ばれます。

3. 詐欺と詐偽投票の違い

詐欺(さぎ)とは?

人をだまして金銭や財産を不正に得る犯罪です。

詐偽投票(さぎとうひょう)とは?

公職選挙法違反の一種で、他人になりすまして投票を行う行為を指します。

4. 被疑者と被害者の違い

被疑者(ひぎしゃ)とは?

捜査対象となっているが、まだ起訴されていない人物を指します。マスコミでは「容疑者」と表現することが多いです。

被害者(ひがいしゃ)とは?

犯罪や事故などで被害を受けた人を指します。

5. 送致と送付の違い

送致(そうち)とは?

逮捕された被疑者を含む事件を検察庁に送ることを指します。マスコミでは「送検」と表現されることがあります。

送付(そうふ)とは?

告訴・告発事件で、逮捕を伴わず、書類のみを検察庁へ送る手続きを指します。

6. 脅迫と恐喝の違い

脅迫(きょうはく)とは?

言葉で相手を脅す行為です。

恐喝(きょうかつ)とは?

脅迫によって金銭や財産を不正に得る犯罪です。

7. 警察官と検察官、刑事と検事の違い

警察官(けいさつかん)とは?

犯罪の捜査や治安維持を行う公務員です。

検察官(けんさつかん)とは?

犯罪の起訴・不起訴を決定し、裁判で被告人を追及する職務を担う公務員です。

刑事(けいじ)とは?

警察官の中でも特に犯罪捜査を担当する職種を指します。

検事(けんじ)とは?

検察官の別名です。

8. 警察庁と検察庁の違い

警察庁(けいさつちょう)とは?

全国の警察を統括する行政機関です。

検察庁(けんさつちょう)とは?

犯罪の捜査・起訴・裁判に関与する機関です。

まとめ

法律用語は似ているものが多く、誤解を招きやすいですが、それぞれの違いを正しく理解することで、法的知識を深めることができます。本記事が、法律用語の理解の一助となれば幸いです!

旧記事 
刑事手続や罪名などの法律用語等には、同音異義語や紛らわしい用語が少なくありません。刑法の改正で器物毀棄罪→器物損壊罪、誣告罪→虚偽告訴罪など、わかりにくい罪名が変更されている例もありますので、法務局の方々にはこれから挙げる分かりにくい用語を何とかしてもらいたいなと思います。

 勾留と拘留
 これは発音が全く同じ上に漢字もよく似ています。どちらも人の身体を拘束することを言いますが、実はかなり違います。勾留は、逮捕された後、そのまま身体を拘束される状態のことを言います。警察官に逮捕され、検察官に送致されるまでの48時間を「逮捕勾留」と呼びます。送致後、検察官が裁判官に勾留請求し、認められた以降の拘束を単に「勾留」と言います。これは送致日を含めて10日間で、さらに10日間の延長が認められます。検察官はこの期間内に起訴から不起訴かを決定し、起訴となれば自動的に勾留が続きます。これ以降を「起訴勾留」と呼びます。「勾留」は全て判決が下されて確定する前の段階です。後述するように、判決が確定すると「勾留」ではなくなります。
 拘留は、懲役、禁固と並ぶ身柄を拘束する刑罰の一つです。拘留は3つの中で一番軽く、1日以上30日未満、刑事施設に身柄を拘束される刑罰です。日にちは短いですが、前科1犯になります。

 科料と過料
 これも発音は全く同じ「かりょう」です。科料は、罰金と同じ刑事罰の一つです。異なるのは金額で、罰金は1万円以上、科料は千円以上1万円未満です。科料の金額は非常に安いですが、刑事罰の一つなので、確定すれば前科1犯になります。過料と区別するため「とがりょう」と読むことがあります。
 過料は、行政罰です。金額の定めはありません。身近なところでは、路上喫煙の条例違反で役所から請求される場合です。刑事罰ではないため、前科にはなりません。交通違反の反則金と同じようなものです。科料と区別するため「あやまちりょう」と呼ばれることがあります。

 詐欺と詐偽投票
 どちらも頭2文字は「さぎ」と読みます。微妙に漢字が異なります。「詐欺」は人をだましてお金やサービスの交付を受ける行為です。詐偽投票は、公職選挙法で処罰される行為で、他人の投票券などを不正に入手するなどして、その人になりすまして投票場で投票する行為です。

 被疑者と被害者
 これはおわかりになるかと思いますが、字面が似ているため文中に何度も交互に出てくると一瞬どっちがどっちだか混乱することがあります。マスコミでは、混乱を避けるため、被疑者を容疑者と呼び変えて使っています。「被疑者」の定義は、捜査対象者であって起訴されるまでの人を言います。起訴後は「被告人」と呼び方が変わります。民事裁判の「原告」「被告」も同様にわかりにくい言葉です。

 送致と送付
 どちらも警察等が事件を検察庁に送ることを言います。「送付」とは、告訴・告発事件を被告訴人(被告発人)を逮捕せず、書類だけ送ることを言います。それ以外は全て「送致」です。これもマスコミでは「送検」と言い換えて使っています。

 脅迫と恐喝
 漢字は異なりますが、読み方が似ています。犯罪の内容としては、言葉で「脅す」の脅迫で、脅迫して金品を交付させるの恐喝です。手書きで書こうとすると恐泊や脅喝と書こうとしてしまうことがあるのは私だけでしょうか。

 警察官と検察官 刑事と検事
 漢字は似ていないので文字で書いた場合は混同しませんが、電話ではよく聞き間違われる言葉です。特に耳が遠くなった高齢者に「検察官(検事さん)のところに行ってください」と言うと相手には「警察官(刑事さん)」と聞こえることが多いです。

 警察庁と検察庁
 これも漢字で書くと違いはわかりやすいのですが、やはり電話でよく聞き間違われます。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。

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