法人を告訴人とする告訴

 法人による告訴は可能です。この場合、株式会社であれば代表取締役の名前を並記して告訴状を作成することになります。具体的には

               告 訴 状

                             令和○年○月○日

○○県○○警察署長
司法警察員警視 ○○ ○○ 殿

             告訴人 所在地 ○○県○○市○○町1丁目3番5号
                 法人名 新庄開発株式会社(代表取締役 ○○○○)
                 電 話 0429-00-0000

との記載になります。法人番号や事業目的等については、告訴状に記載は必要なく、法人登記簿(必要に応じて定款写し)を添付すれば間に合います。従業員に会社資金を窃盗または横領された場合などはこのように法人が被害者となります。

 では、会社の社長、つまり代表取締役が会社資金を横領した場合はどうなるでしょうか。このような場合は、臨時株主総会を開いて、横領した代表取締役を解任し、新しい代表取締役を選任後、その新代表取締役が会社を代表して、旧代表取締役個人を被告訴人として告訴することになります。

 社内犯罪の場合は、警察側担当者から協力の電話を入れることが多いため、会社内で事件をよく知る者1名を警察担当窓口として指定しておくことが大切です。

 横領等、社内犯罪が発生した場合、警察に連絡して解雇という流れになることが多いと思われますが、警察に相談したり、解雇が決定した段階になると、被疑者が呼んでも会社に出てこなくなることがあります。そのため、犯行を認めたなら、早期に「自認書」または「顛末書」を本人に書かせ、署名を取っておくことが極めて重要です。こうした文書があるのとないのとで、警察の告訴受理の判断が大きく変わってきます。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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