告訴状の郵送

 刑事訴訟法241条では「告訴・告発は書面又は口頭で行わなければならない」と規定されており、特に書面の郵送を禁じる規定はありません。ただし、告訴の要件を確認し、虚偽告訴罪を防止する点からも、警察官は告訴人が本人であるかを確認する必要性があることから、告訴状の提出は告訴人本人が身分証明書等を持参して警察署に来署するように求めるのが普通です。

 したがって告訴状を郵送した場合、警察署から電話がかかってきて「本人が身分証明書を持ってきてください」と言われます。これに応じないと最終的に告訴状はそのまま返送されることになります。

 またどうしても警察署に行きたくない場合、代理人に提出してもらう方法もありますが、告訴受理後には刑事が「告訴人調書」を作成しなければならないので、どちらにしても最低1回は警察署に行く必要があります。

 では、この「告訴人調書」にも応じなかったならどうなるでしょうか。おそらく刑事から執拗に電話や手紙で呼び出しがあります。それでも無視していれば直接自宅や勤務先に呼び出しに来ます。これにも応じなければ「告訴人不協力」ということで「相当処分」の意見を付けて被告訴人を送付することになります。これを受けた検察官は被告訴人を不起訴にする率が極めて高いので、被告訴人は何の処罰も受けないことになります。これでは何のために告訴したかわからなくなりますね。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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