告発事実の書き方10(特商法違反)
特商法は、旧訪問販売法です。いわゆる「悪質商法」を取り締まる法律です。この法律に違犯する営業は、実態は全くの詐欺であることが多く、この法律で会社の捜索差押が行われた後、関係者が詐欺罪で逮捕、起訴されることが珍しくありません。代表的な手口としては、
浄水器販売(水道水をわざと汚して見せる)
消火器販売(「消防署のほうから来ました。」という古典的手口が有名)
リフォーム(壊れてない屋根等を壊れていると言う)
シロアリ駆除(前もって準備してきたシロアリを見せて「ほら縁の下にいましたよ。」と言って騙す)
さお竹屋(スピーカーでは2000円だと言っておきながら頼むと別な高額品を勝手にカットして売りつける)
などがあります。最近では、押しかけ買い取り業者による「押し買い」が問題になり、法改正がされています。法改正のたびに新しい手口が生まれるのでイタチごっこになっています。
不実の告知
告発事実
特定商取引に関する法律違反 同法第70条第1項、第6条第1項第7号、第74条第1項第2号
被告発人は、住宅のリフォームを業とするシン日本リフォーム株式会社の従業員であるが、同社の業務に関し、令和6年5月6日午後3時0分頃、東京都国立市国立5丁目1番2号山下悦郎方において、同人に対し、真実は同宅の屋根に破損はないのに、「裏の○○方の工事の関係であいさつに来たのですが、お宅の屋根の一部に亀裂が入っていてこのままでは雨漏りが始まって大変なことになります。」などと嘘を言い、もって訪問販売に係る売買契約の締結について勧誘をするに際し、当該売買契約に関する事項であって、顧客の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、不実のことを告げる行為をしたものである。
威迫
告発事実
特定商取引に関する法律違反 同法第70条第1項、第6条第3項、第74条第1項第2号
被告発人は、竿竹の訪問販売を業とするものであるが、その業務に関し、令和6年5月7日午後5時0分頃、東京都杉並区杉並本町2丁目3番5号吉田義男方において、同人の妻郁代に対し、「どういうことや、竿竹買うっちゅうから測って切ってやったのにこれもう他で売れんで。どうしてくれんのや、出るとこ出よか、おう。」などと語気鋭く執ように言い、もって訪問販売に係る売買契約の解除を防げるため、人を威迫して困惑させたものである。
書面の不交付
告発事実
特定商取引に関する法律違反 同法第71条第1号、第5条第1項第1号
被告発人は、シロアリ等害虫駆除の役務提供の事業を営むものであるが、法定の除外事由がないのに、令和6年5月7日午後5時0分頃、東京都杉並区杉並本町2丁目3番5号吉田義男方において、同人からシロアリ駆除契約の申込みを受けた際その役務提供契約を締結したのに、直ちに、法令で定める役務提供契約の解除に関する事項を記載した書面を同人に交付しなかったものである。
淺利 大輔
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。