告訴事実の書き方33(電子計算機損壊等業務妨害罪)
電子計算機損壊等業務妨害罪は、業務に使用するコンピュータ(パソコン)そのものを物理的に破壊する行為、その内部に記録された電磁的記録を損壊(消去)する行為、何らかの方法により正常に動作しなくさせる行為によって業務を妨害することで成立します。3番目の態様は、コンピュータウイルスを想定したものになります。
罰条は5年以下の懲役又は100万円以下の罰金であり、器物損壊罪(3年以下の懲役又は30万円以下の罰金)と比べると重くなっています。
人の直接操作によってデータを消去した場合の告訴事実記載例です。
告訴事実
刑法第234条の2 電子計算機損壊等業務妨害
被告訴人は、栃木県小山市生方2番45号所在の株式会社日本SEO(告訴人)に勤務し、同社開発部員として、集客ソフト等のプログラム開発に従事していたものであるが、上司から勤務態度のことで叱責されたことを逆恨みし、同社の業務を妨害しようと企て、令和6年9月20日午後9時0分頃、同部事務室内にあった電子計算機であるパーソナル・コンピュータ(ICM製、型式RR-125)を操作し、同コンピュータ内部のハードディスクに記録された開発部フォルダのデータを消去して復元できない措置を取り、もって、同社の業務に使用する電子計算機の用に供する電磁的記録を損壊し、同社の開発業務を妨害したものである。
コンピュータウイルスによる業務妨害の告訴事実記載例です。
告訴事実
刑法第234条の2 電子計算機損壊等業務妨害
被告訴人は、インターネット上のサーバーに侵入して、不正プログラムをインターネット上に拡散させ、多数のサーバーの業務を妨害しようと企て、令和6年5月3日午後10時0分頃、東京都三鷹市内に設置されたパーソナル・コンピュータから、BBB株式会社(告訴人)が東京都品川区大井1丁目5番6号に設置した同社の業務に使用する電子計算機であるサーバー・コンピューターに対し、電気通信回線等を介して、その作動障害を起こさせる不正な指令を含む上記不正プログラムを送信して、同社のデータベース提供サービスを著しく停滞させてその業務に支障を生じさせ、もって、人の業務に使用する電子計算機に不正な指令を与えてその使用目的に沿った動作をさせないとともに、使用目的に沿わない動作をさせて人の業務を妨害したものである。
淺利 大輔
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。