勤務した赤坂警察署、大井警察署、麹町警察署、深川警察署、板橋警察署、浅草警察署の思い出【元警視庁警察官が語る】

警察署によって仕事内容や忙しさは大きく異なります。
私は警視庁で30年以上勤務し、都心の大規模署から住宅街の警察署、観光地の警察署まで複数の所属を経験しました。

「警察署ごとにどんな違いがあるのか?」
「どの警察署が忙しいのか?」
「元刑事から見た警視庁の勤務実態とは?」

今回は、私が実際に勤務した警察署について、現場経験をもとに警察署ごとの特徴や事件、勤務のリアルを紹介します。


1. 赤坂警察署|オウム真理教事件で極限勤務を経験した都心の警察署(1992~1995)

警察学校を卒業して最初に配属されたのが、東京都心の赤坂警察署でした。

当時はバブル崩壊後とはいえ、赤坂には高級料亭や高級クラブが数多く残り、政治家や暴力団関係の事案を扱うことも珍しくありませんでした。

さらに、管内には

  • 衆議院議員宿舎
  • 米国大使館
  • 赤坂御所
  • 神社本庁

といった重要防護施設が集中しており、警備業務も非常に多い警察署でした。

そして1995年、**地下鉄サリン事件(オウム真理教事件)**が発生します。

赤坂警察署は、事件現場への対応だけでなく、教団の青山総本部が管内にあったため、通常では考えられない超過酷勤務になりました。

地域課(交番勤務)は、三部制+非番勤務という異例の態勢。

具体的には、

  • 朝7時30分頃出勤
  • 翌朝9時30分頃まで勤務
  • 数時間だけ帰宅
  • その日の夜に再出勤
  • 翌朝までオウム真理教施設前で警備

という、ほぼ連続勤務に近い状態です。

30年以上の警察人生で、「非番勤務」を経験したのはこの時だけでした。


2. 大井警察署|連続殺人事件で署内が緊迫した警察署(1996~2001)

機動隊勤務を経て巡査部長として赴任したのが大井警察署です。

赤坂とは対照的に、住宅街の中にある比較的小規模な警察署でした。

当時の庁舎はエレベーターがなく、5階の道場までコピー機を運んだときは本当に地獄でした。

普段は比較的落ち着いた警察署でしたが、1998年に状況が一変します。

わずか数か月の間に殺人事件が4件連続発生

すべて特別捜査本部が設置され、署内は完全に戦時状態になりました。

そのうち2件は解決しましたが、残る2件は未解決のまま時効となりました。

「暇な警察署」と思われていても、重大事件が起きれば一瞬で空気が変わる典型例です。


3. 麹町警察署|日本で最も重要施設が集中する警察署のひとつ(2001~2005)

麹町警察署は、日本でもトップクラスに重要防護対象が集中する警察署です。

管内には、

  • 国会議事堂
  • 首相官邸
  • 最高裁判所
  • 各国大使館
  • 靖国神社
  • 警視庁本部
  • 警察庁
  • 外務省
  • 上智大学
  • 日本武道館
  • ホテルニューオータニ

など、日本の中枢施設が密集しています。

歓楽街が少ないため酔客トラブルは比較的少なめですが、その代わり社会的影響の大きい事件が発生しやすい特徴があります。

実際に勤務中、

  • 靖国神社への車両突入
  • 精神錯乱者による官庁侵入・器物損壊
  • 国会へのダンプカー突入

など、全国ニュースになる事件が何度もありました。

一方で高級住宅街でもあるため、空き巣被害も少なくありませんでした。


4. 深川警察署|湾岸エリアと住宅街が混在する警察署(2007~2010)

深川警察署は、下町と湾岸エリアの両方を抱える特徴的な警察署です。

富岡八幡宮があり、「水かけ祭」で知られる地域でもあります。

また、

  • 豊洲
  • 東雲
  • 有明

といった再開発エリアも管轄しており、観光客やイベント来場者も多く集まります。

東京ビッグサイトで開催される**コミックマーケット(コミケ)**の警備も関係するエリアです。

過去には重大事件の舞台にもなっており、

  • 川俣軍司事件
  • 宮崎勤事件
  • 江東マンション神隠し殺人事件

などでも知られています。

住宅街中心ながら、意外と事件性の高い案件が多い警察署でした。


5. 板橋警察署|住民数の多さで常に忙しい大型警察署(2018~2022)

板橋警察署は、とにかく人口が多いエリアを抱える警察署です。

東武線で池袋に出やすいこともあり、水商売関係者も一定数います。

そのため、

  • DV(家庭内暴力)
  • 男女トラブル
  • 万引き
  • 性犯罪
  • 放火
  • 変死

など、日常的にさまざまな事件が発生します。

重大事件がなくても、案件数だけで体力を削られるタイプの警察署です。

刑事課長が週1回は深夜呼び出しを受けるような忙しさでした。


6. 浅草警察署|観光地ならではの混乱がある警察署(2022~2024)

最後に勤務したのが浅草警察署です。

浅草は、日本を代表する観光地。
雷門・浅草寺を中心に国内外から大量の観光客が集まります。

着任当初はコロナ禍で比較的落ち着いていましたが、観光回復後は一変しました。

  • 毎週のように祭りやイベント
  • 大量の観光客対応
  • 酔っ払いの保護
  • ケンカ対応
  • 休日出勤の連続

まさに「観光地警察署」の忙しさです。

また、山谷地区も管内に含まれています。

かつては暴動対策で機動隊待機が必要な時代もありましたが、現在は高齢化が進み、比較的静かな地域になっています。


まとめ|警察署ごとに勤務実態はまったく違う

同じ警視庁でも、警察署によって仕事内容はまるで別世界です。

  • 赤坂警察署 → 政治・警備・重大テロ対応
  • 大井警察署 → 住宅街+重大事件発生型
  • 麹町警察署 → 国家中枢警備
  • 深川警察署 → 湾岸イベント+住宅街
  • 板橋警察署 → 人口密集による案件過多
  • 浅草警察署 → 観光客対応・イベント警備

「警察官はどこでも同じ仕事」と思われがちですが、実際には配属先でまったく別の職業のようになります。

○警察への告訴状・告発状の作成は元警視庁刑事の行政書士にお任せください。こちら
 


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。

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