告訴事実の書き方30(公務執行妨害罪)
公務執行妨害罪は、公務員(みなし公務員含む)が職務を執行する際、これに対し暴行、脅迫を加えることで成立します。保護されるべきは「公務員」ではなく「公務」となります。「公務」とは、幅広い意味で認められ、具体的に何かをしている必要はなく、窓口業務などで、窓口に立って何もせずに来訪者を待っている状態であっても窓口業務の執行中であると見なされますので、これに暴行を加えれば本罪が成立します。
なお、私服刑事などの場合で、相手が勤務中の公務員だとわからずに暴行をくわえた場合は本罪の故意が認められないことから、本罪は成立せず、単純暴行罪が成立するに止まります。
本罪敢行の際に行われた暴行、脅迫は、本罪の手段としての行為なので本罪に吸収されて別個に成立しません。
都営バス運転手に対する公務執行妨害の記載例です。
告訴事実
刑法第95条第1項 公務執行妨害
被告訴人は、令和6年6月7日午後1時0分頃、東京都新宿区新宿4丁目5番先新宿通りを走行中の都営バス(第34系統新宿駅発中野行き第12号車)車内において、被告訴人の運転が下手だと因縁をつけ、右手拳で告訴人の左側頭部を2回殴る暴行を加え、もって告訴人の職務の執行を妨害したものである。
淺利 大輔
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。