告訴事実の書き方21(恐喝罪)

 恐喝罪は、人を恐喝(脅迫)して、財物を交付させたり、財産上の利益を得たりすることで成立します。脅迫罪との違いは、脅迫罪が害悪の告知をして、人を畏怖させるだけで成立するのに対し、恐喝罪はその畏怖等に乗じて金品などを要求する行為です。したがって、要求行為がなければ恐喝罪は成立しません。

 脅して金品を取得するという点では、強盗罪とも共通点があります。違いは、強盗罪は「被害者の反抗を抑圧する程度」の暴行又は脅迫が必要であり、恐喝罪はそこまでに至らない「畏怖する程度」の脅迫又は暴行が手段です。また金品の取得方法も、強盗罪では「奪う」のに対し、恐喝罪は「交付させる」違いがあります。

 恐喝罪の構成要件は、

   恐喝行為→畏怖→財産的処分行為

となっており、詐欺罪の構成要件である

   欺罔行為→錯誤→財産的処分行為

と非常によく似た構成要件になっています。

 恐喝行為の中に欺罔(嘘)があった場合、別に詐欺罪を構成せず、恐喝罪のみが成立します。

 恐喝行為には、言葉による脅しだけではなく、強盗に至らない程度の暴行も含まれます。例えば、被害者の顔を平手で軽く叩き、「おい、次は本気で殴るぞ。嫌なら金出せ。」と言えば恐喝罪が成立します。手段である暴行は、恐喝罪に吸収されて別個に暴行罪は成立しません。

 本罪には、未遂処罰規定があり、財産的処分行為が無ければ未遂、あれば既遂となります。

 恐喝罪(たかり)の告訴事実記載例です。

 元交際相手によるメール利用の性的画像ばらまき(リベンジポルノ)恐喝罪記載例です。

 不倫をネタにした脅し行為

 企業恐喝


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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