告訴事実の書き方6(詐欺2オレオレ詐欺)

オレオレ詐欺は平成20年(2008年)頃から主として関東地方で流行が始まりました。当初は、一過性の流行で終わるものと警察関係の誰もが予測していたのですが、被害地域は徐々に全国に広がり、手口もオレオレから還付金、不正請求、キャッシュカードすり替えなど次々に新しいものが出て、一過性で終わるどころか反社や不良グループの定番犯罪となってしまいました。

高齢の被害者宅に電話をかけるというやり方は流行開始時から一貫して変わらないのですが、その電話をかける場所が国内から国外が主流となり、かけ子と呼ばれる騙し役の検挙がより一層困難になってきています。有効な検挙策がなかなか見つからない中、高齢の親族を持つ方には以下の点に留意してほしいと思います。

1 固定電話の廃止

騙しの電話が入ってくるのは固定電話がほとんどです。高齢者は固定電話に対する思い入れが強く、廃止をすすめてもすぐには了承しないと思いますが、携帯電話で用は足りることを説明して説得しましょう。

 2 銀行口座の管理

   年齢を取るに従って判断能力は下がります。認知に入る前に口座管理を息子や娘に任せることを提案しましょう。

 3 警察官、銀行協会、弁護士からの電話は詐欺

   これらをかたる人から電話があったら一度切って息子や娘に電話するように会うたび話しましょう。

オレオレの詐欺の告訴事実記載例

 被告訴人の犯行場所については、先に説明したとおり、最近は国外が主流になってきていることもあり、発生段階では全くわからないのが当然ですから、ここでは「いずれかから」としましたが、あえて記載しなくても良いかと思います。騙しの文言については、実際のオレオレ詐欺では近況を話したり、風邪を引いて声が変わったなど、かなり長時間の会話があることが珍しくありませんが、そういった会話内容は陳述書等で明らかにすればいいので、告訴事実内には要約した必要最低限の文言を記載します。オレオレ詐欺の場合は、1項詐欺になるのか2項詐欺になるのか微妙なところがありますので、告訴の段階では特定する必要もないので、明記しなくて構いません。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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