刑事告訴と民事告訴
テレビやネットでニュースや記事を見ていると「刑事告訴」や「民事告訴」という言葉が目にとまることがあります。実はこれ、法律用語としては両方正しくありません。
告訴とは、刑事訴訟法の230条から245条までに規定されたものであり、刑事手続に関するものです。したがって民事裁判手続において「告訴」したり「告訴」されることはありません。よって告訴とは、「告訴」だけで表記されるべきであり、わざわざ頭に「刑事」を付ける必要性はありませんし、「民事」に至っては完全な誤用です。
一方で告発は少々意味が違うようです。告発も刑事訴訟法に規定されたものであり、民事裁判において使われることはありません。しかし、一般用語として「内部告発」などの使い方が社会に広く浸透しており、刑事訴訟法における「告発」とは意味の異なる用語として使われています。むしろ「内部告発」的な使い方のほうが世間では一般的であり、刑事訴訟法の定める「告発」の意味については、知っている人のほうがずっと少ないでしょう。
全くの個人意見ですが、告訴権者しかできない告訴に対して「誰でもできる」告発という制度は如何なものでしょうか。新聞記事や週刊誌の記事をコピーしたものに「告発状」と題して持ち込んで来られる方がいましたが、その対応には何度か苦労しました。
淺利 大輔
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。