刑事手続とマスコミ用語【元刑事が解説】

テレビニュースでよく耳にする
「○○が書類送検されました」
「○○会社本社に家宅捜索が入りました」
「○○が刑事告訴されました」

これらの言葉は一般には広く使われていますが、実は法律上の正式用語ではないものが含まれています。警察官、検察官、裁判官などの実務では、別の正式な表現が使われています。

今回は、ニュースで頻繁に使われる“マスコミ用語”と、実際の刑事手続で使われる正式用語の違いをわかりやすく解説します。


書類送検とは?実は法律上の正式名称ではない

ニュースでよく見る「書類送検」という言葉ですが、これはマスコミが使う俗称であり、刑事訴訟法上の正式な用語ではありません。

警察が事件を検察庁へ送る手続の正式名称は、以下の2つです。

  • 送致(そうち)
  • 送付(そうふ)

送致と送付の違い

この2つは似ていますが、実務上は区別されています。

送致
→ 被疑者の身柄がある事件や、通常の刑事事件を検察庁へ送ること

送付
→ 告訴・告発事件などを書類のみで検察庁へ送ること

一般の方にとってはどちらも「検察へ事件が送られる」という意味なので、「書類送検」という言葉のほうが直感的でわかりやすいかもしれません。

しかし、刑事訴訟法には「書類送検」という用語は登場しません。


家宅捜索とは?会社への捜索は本当に“家宅”なのか

ニュースではよく、

「製薬会社の本社に家宅捜索」

という表現が使われます。

しかし、警察実務では通常「家宅捜索」という言い方はあまりせず、正式には**捜索差押(そうさくさしおさえ)**と呼びます。

捜索差押とは

捜索差押とは、裁判所の令状に基づいて、

  • 自宅
  • 会社事務所
  • 倉庫
  • 自動車
  • その他関係先

などを捜索し、証拠品を差し押さえる強制捜査のことです。

つまり、対象が会社であっても自動車であっても、正式名称はすべて捜索差押です。

そのため、「会社を家宅捜索」と聞くと、

“会社は家じゃないのに?”

と、警察実務経験者ほど違和感を覚えることがあります。


刑事告訴とは?「刑事」は不要?

「刑事告訴」という言葉もニュースやネット記事でよく見かけます。

しかし、法律上は単に告訴です。

告訴とは、犯罪被害者などが犯人の処罰を求めて捜査機関に申し立てる、刑事訴訟法上の正式な手続です。

民事事件に「告訴」という制度はありません。

そのため、わざわざ「刑事」を付けて刑事告訴と表現しなくても意味は十分通じます。

もちろん一般向けにはわかりやすさを優先して使われることもありますが、法律実務の観点では少し冗長な表現です。


マスコミ用語と法律用語は違う

ニュース報道では、視聴者にわかりやすく伝えるため、法律上の厳密な用語ではなく一般向けの言葉が選ばれることがあります。

例えば:

マスコミ用語正式な法律・実務用語
書類送検送致 / 送付
家宅捜索捜索差押
刑事告訴告訴

これは誤りというより、「わかりやすさ」を優先した表現といえるでしょう。

ただし、正確な法律知識を知りたい方や、告訴・告発を検討している方は、正式用語を理解しておくことをおすすめします。

○当事務所では、元警視庁刑事の経験を活かし、刑事が一読して理解しやすい告訴状や、供述調書スタイルの陳述書を作成します。まずは無料相談をご利用ください。
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淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。

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