前科と前歴の違い?個人の犯罪歴について【元刑事が解説】

個人の犯罪歴には「前科」と「前歴」という言葉があります。これらは法律用語ではなく、警察や検察の内部で使われている慣例的な表現です。本記事では、前科と前歴の違いを詳しく解説します。

前科とは?

前科とは、何らかの犯罪によって検察官に起訴され、裁判所で有罪判決を受け、それが確定した件数を指します。判決の内容が懲役、執行猶予、罰金、科料のいずれであっても、すべて前科に該当します。ただし、一般的に交通事故に起因する事件は含まれません(前歴についても同様です)。

前歴とは?

前歴とは、犯罪の容疑を受け、警察署に同行(逮捕・任意同行を問わず)された後、何らかの法的処分を受けたが、前科にはならなかったケースを指します。法的処分には、送致・送付・微罪処分のいずれかが含まれます。

例えば、逮捕されて起訴されたものの、裁判で無罪判決が確定した場合は、前科ではなく前歴になります。また、初犯者が軽微な犯罪を犯し、警察のみの判断で処理される「微罪処分」も前歴に該当します。

前歴にカウントされないケース

警察署に同行されたものの、犯罪に該当しないと判断された場合や、被害者と和解し、事件化されなかった場合などは前歴に含まれません。これらは犯罪歴として記録されることはありません。

前科・前歴に関するよくある質問

Q: 前科や前歴は一生残るのか?
A: 前科は一定期間が経過すると「前科抹消制度」によって考慮されなくなることがあります(前科そのものが消えるわけではありません)。前歴は内部記録として残るものの、法的な影響は限定的です。

Q: 前科・前歴はどこで確認できるのか?
A: 日本では個人が自分の前科を確認する手段は限られていますが、警察や検察などの公的機関は内部データとして管理しています。

まとめ

前科と前歴の違いを正しく理解することで、誤解を避けることができます。どちらも犯罪歴に関わる重要な要素ですが、法的な扱いや社会的影響が異なります。犯罪歴に関する正確な知識を身につけ、適切に対応しましょう。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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